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◎一般人も応募できる 県庁所在地でありながら、公立の博物館施設がないといわれる前橋市において、学芸員を擁する唯一の文化・研究施設が前橋文学館です。 前橋文学館も全国の文化施設と同様、入館者の減少や低迷が続いています。それを打開すべく、昨年より司修氏をスーパーバイザーとして招聘(しょうへい)し、同氏を中心に十三人の委員からなる「前橋文学館を考える会」が結成され、文学館の活性化を目指しています。その効果もあり、昨年の入館者数は最盛期の人数に迫りました。 文化施設の活性化は入館者数だけでは測れないとの批判もありますが、文学館に来たことのない市民が大勢いることを考えますと、まずは文学館に来ていただき、市民にとって身近な施設になることも、今の文学館にとっては大切なことと思われます。それとともに、今後は前橋でしかなしえない資料収集や研究および情報発信を行うことが必要であり、こちらが文学館の果たすべき本来の仕事と考えられます。 前橋文学館の活性化を考える際、常に話題に出るのがその名称です。「前橋文学館という名称は漠然としていて分かりにくい」「前橋出身で教科書にも多く登場するのは萩原朔太郎なのだから、朔太郎記念文学館とか朔太郎記念館など、萩原朔太郎に特化した名称に変更すべきだ」等、朔太郎の名前を前面に出そうとの意見が根強くあります。 半面、「前橋は朔太郎以外、高橋元吉や萩原恭次郎など近代詩史上に残る多くの立派な詩人がいるのだから、その人たちを紹介するためにも幅広い名称である前橋文学館が望ましい」との意見もあります。しかし、前橋文学館という名称は通称・略称です。正式名称は「萩原朔太郎記念水と緑と詩のまち前橋文学館」です。つまり朔太郎の名前が入っているにもかかわらず生かされていないのです。 本年は朔太郎生誕百二十年にあたり、いろいろな事業が開催・予定されていますが、私が一番関心を持っているのは「萩原朔太郎生誕百二十年記念・前橋文学館賞」です。文学館賞は詩部門と映像部門があり、詩部門は自薦、他薦を問わず、詩人に限らず一般の方でも応募できます。昨年九月から今年八月までに刊行・発表された詩集一点・詩十編、あるいは未発表詩十編一組を対象としています。また、映像部門は「猫町」をテーマに作品を募集中です。締め切りは九月五日です。応募の詳細は前橋文学館にご確認ください。 前橋文学館賞は現段階では本年度限定の企画です。これが大成功を収め、今後も継続されることを期待しています。そして、前橋文学館賞が市民の誇りとなるような賞に育っていくこと、また、前橋文学館賞を土壌として市民・県民の中から日本を代表する詩人や映像作家が生まれることを願います。 (上毛新聞 2006年7月20日掲載) |