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◎強く自立した組織に 多野東部森林組合の平成十七年度決算は当期利益で赤字を計上することになってしまった。赤字は昨年の秋ごろから現実的となった。夜も眠れない状態が続き、何とか黒字にしようと努力したが、新しい年を迎えてもめどは立たず、気が重く元気を失っていた。 一月のある日、こだま森林組合(埼玉県神川町)の原邦紘組合長が訪ねてきて、相談に乗ってくれた。私が森林組合に勤めて三十年経過するが、赤字決算は初めてのこと。責任をとって辞職したいと相談したところ、「一回ぐらいの赤字で辞めては駄目。もっと強い気持ちを持たなくては…」と叱咤(しった)激励され、思い直して再度頑張ることにしたのだった。その後も、頻繁に訪ねてこられ、元気付けてくれた。原組合長は、当組合が合併する以前からのお付き合いで、私の大事なよき指導者である。励まされたおかげもあり、決算は当期利益で赤字となったが、前期の繰越利益で処理することができた。 さて、本年度の通常総会において、役員定年制(就任時七十歳未満)導入後、初めての役員改選が行われ、理事十人、監事二人が選任された。平均年齢は五十九歳となり、以前より十一歳も若返った。また、その役員の中には、作業班の総班長が理事に、員外から税理士が監事に選任されている。そして私も女性の員外理事として再任された。これらの役員への登用は、県内の森林組合では初めての試みである。 当組合の初代組合長は鬼石町長の経歴を持ち、歴史ある名家で育ったとても尊敬される人格者で、昭和五十一年の合併時から平成九年まで、当組合をリードしていただいた。その次は藤岡地区から選任され、本年の五月まで勤めていただいた。今回の代表理事組合長の選出は、当然、吉井地区からの予定であった。さっそく、新しい理事による代表理事組合長の互選が六月一日の理事会において行われた。 しかし、吉井地区の理事さんからは、森林組合の経営は年々厳しくなっており、こうした状況下では、森林組合の長い経験がある私にやらせるのがよいとの意見であった。私としては、来年三月で職員として定年となるので、今の職責を全うしたいとの意向を申し出たがかなわず、職員を辞めて代表理事組合長を引き受けることとなってしまった。女性の組合長は、全国で三人目ということもあり、自分にできるか不安を感じているのが正直なところであり、同時に組合員や役員の期待に応えなければならないという使命感で頭の中は飽和状態である。 昭和四十八年二月に藤岡市森林組合に書記として就職し、五十一年二月に広域合併した多野東部森林組合の会計主任、そして平成七年に参事、十五年には常勤理事と参事を兼務、その間、紆う余よ曲折もあり、その都度行政をはじめ周りの人たちに支えられてきた。 これからも、森林組合の経営がますます厳しくなる中、新規事業等を模索し、補助金等に頼らなくても組合員や地域社会のために貢献できる、強く自立した森林組合に成長するよう役職員一丸となって努力していきたい。 (上毛新聞 2006年7月18日掲載) |