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群馬大学教育学部助教授 西薗 大実さん(桐生市東)

【略歴】東京都出身。東京理科大大学院修了。薬学博士。専門は家政学と環境。現在は国や県が設置する環境関連の複数の審議会で委員を務める。

大幅な省エネ

◎新機器選択時が効果的

 省エネというとすぐ思いつくのは、こまめにスイッチを切る、コンセントを抜く、車の空ぶかしを控えるなどの使用法改善による節約である。このような努力も必要だが、さらに大幅な省エネには、買い替え時の適切な選択が効果的だ。

 最近では、冷蔵庫、エアコン、車など消費エネルギーが大きい機器については、同じ機能を保ちつつエネルギー消費が少ない構造に改良が進んでおり、家電の省エネ率や車の低排出ガス車という表示で、一目で分かるようになってきた。このような大幅なエネルギー効率の改善は、どうやって実現されているのだろう。

 多くの機器では、エネルギーの半分以上を有効に使えず、無駄にしている。特に本来の機能ではなく、熱として捨ててしまっていることが多い。自動車を例にして考えてみよう。自動車は燃料のエネルギーのごく一部しか前進する力に使っていない。エンジンから出る熱は、その分のエネルギーが無駄になっているのである。

 改良方法の一つとしては、エンジン自体の熱効率がよい、いわゆる低燃費の車とすることだ。ヨーロッパの自動車メーカーは、ガソリンエンジンより熱効率のよいディーゼルエンジンを小型化して乗用車に搭載し、燃料一リットルあたり三十キロも走行できる車を実現した。日本の自動車メーカーは、別のアプローチをした。

 車のブレーキとは、前進しようとしている車の運動エネルギーを、摩擦熱に変えて空中に捨てることで減速する装置だ。

 このエネルギーを回収して、再び前進の力にできれば、エネルギー効率は一気にアップする。しかし、エンジンでは減速エネルギーを回収することができない。そこでモーターをつなぎ、減速時には発電機とすれば、そのエネルギーを電池に回収して、次の発進加速時に使って、ガソリン使用量を大幅に減らすことができる。これがハイブリッド車である。冷蔵庫やエアコンも、断熱材の性能アップやインバーター制御といった技術で、無駄なエネルギーが大幅に少なくなった。

 さて、高性能の機器ができたからといって、今使っている機器を捨てる方が無駄なのでは、と悩むこともある。この点はどう考えればよいだろうか。

 このような機器では、一般的に製造・廃棄に要するエネルギーより使用時のエネルギーの方が多い。例えば、十年使ったときのそれぞれのエネルギーが二と八だったとしよう。壊れないからといって、頑張ってあと十年使えば、その十年間の投入エネルギーは「八」である。もし十年目で、使用時のエネルギーが半分の四で済む省エネ機器に更新したら、次の十年間の合計エネルギーは二プラス四で「六」となり、25%もの省エネとなる。

 ポイントとしては、新機の使用時エネルギーが、旧機に比べて三割以上、できれば半分以下に削減できるものを選ぶことだ。











(上毛新聞 2006年6月2日掲載)