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県社会福祉協議会会長 宮下 智満さん(渋川市白井)

【略歴】早大卒。1962年群馬県庁入庁。医務課長、地方課長などを経て01年保健福祉部長。04年保健福祉食品担当理事。05年3月退職、同年7月から現職。


ボランティア活動

◎定年後は積極参加を

 わが国の総人口は昨年、前年を下回った。ついに「人口減少社会」に突入である。

 その一方で、高齢者は急速に増加している。来年からは、いよいよ戦後生まれのいわゆる「団塊の世代」と呼ばれる人たちが定年を迎え始める。人口の減少と高齢者の急増が重なり、高齢化は急ピッチで進む。そして平成二十七年までに、団塊の世代といわれる人たちがすべて六十五歳以上の高齢者になる。その時点の本県の高齢化率は27%、県民の三・七人に一人は高齢者という社会になる。

 こうした社会環境の中で、人生の四分の一を超える定年後の長い人生をどう生きていくか、これは多くの人にとってそんなに簡単な問題ではない。誰もが、健康で心豊かに生きがいのある人生を送りたいと願っているが、そのためにはさまざまな条件整備が必要である。

 その中には、社会の構造的な問題、政策的な問題など個人の努力や工夫だけではどうにもならない側面も多い。しかし、本人の心の持ちようや努力で解決できることも少なくない。

 高齢者の「生きがい」を追求する上で、「学習、趣味、ボランティア活動」の三点が極めて大切な項目であるとされている。これらはいずれも、本人がその気にさえなれば取り組むことが可能である。その中でも、特に「ボランティア活動」への積極的な取り組みは、生きがいのある人生を築いていく上で欠くことのできないものである。

 近年、ボランティア活動は、大きな広がりと深まりを見せてきている。福祉分野を中心としつつ、災害、まちづくり、環境、教育、文化など実に多彩な領域に及び、いたる所で個性的で魅力ある活動が展開されている。しかし、これからの超高齢社会を少しでも豊かなものにするためには、もっともっと多くの人の参加が必要とされている。

 ボランティア活動は、いうまでもなく金銭的な見返りを求めない無償の活動である。その代わりに、お金では得られない仲間との出会いや感動、喜びを得ることができる。どんなにわずかでもよい、自分にできる範囲で無理をせず、楽しくやればよいのである。その小さな活動の集積が大きな力となってくれるのである。定年後の人生の生きがいの一つとして、ぜひボランティア活動への積極的参加を大きく位置づけてもらいたいものである。

 今年の十一月三、四日には、本県で「第十五回全国ボランティア大会」が開催される。テーマは「笑顔のかけ橋」。県内を五つのブロックに分けて、さまざまな分野にわたる四十六もの分科会が予定されている。全国からたくさんのボランティアを迎えて、意見交換や交流が行われる。めったにない機会である。ぜひ多くの人、特にこれまでボランティア活動にあまり関心のなかった人にこそ、興味のありそうな分科会に顔を出してもらいたいものである。それが活動の一歩となることを祈りたい。











(上毛新聞 2006年5月27日掲載)