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さんすい森のリゾート社長 山田 直彦さん(みなかみ町湯原)

【略歴】法政大建築学科卒。東京でホテル経営のコンサルタント会社に6年間勤務後、帰郷してピザ専門店と和食の店を経営。湯原温泉街振興会副会長。


整えよう受け入れ環境

◎外国人観光客

 以前、旧水上町商工会の事業で「外国人観光客のモニターツアー」という企画を実施したことがあります。これは、外国人観光客を受け入れる環境を整備するための課題、問題点を探ることを目的に行ったもので、東京に在住する在日外国人のビジネスマンとその家族に実際に旅行に来てもらい、自然や温泉、日本旅館を体験していただきました。

 招待ということもあり、参加された皆さんには大変喜んでいただきました。そして、われわれもたくさんの貴重な意見を収集することができました。話を聞くと、彼らは三年ほどの短い海外勤務期間を終えて、本国に帰国するとのことで、その間、どこへ出かけるわけでもなく、都内で日々生活を送っているそうです。

 休日には都心から離れてリフレッシュしたいと思っていますが、慣れない土地のため、気軽に出かけることができません。せっかく日本に滞在しているのだから、日本の良さ、文化を楽しみたいと考えていますが、残念ながらあきらめてしまっているようです。

 彼らの要望に応えられない理由はいろいろとありますが、その大きな原因の一つとして、やはり観光地に外国人を受け入れる環境が整っていないことが挙げられます。彼らにとって、言葉が通じない土地での旅行はとても不安であるし、いろいろと不便なこともあるようです。

 やはり今後、外国人観光客を受け入れていくためには、それなりの取り組みが必要となります。例えば、公衆トイレに洋式便器を設置するとか、観光案内板やパンフレットを英文化するなどの基本的なものの整備から、通訳を兼ねた観光ガイドの育成、外国人観光客が困った時に電話で対応できるホットラインの制度化、宿泊施設の料金体系や食事の内容、提供方法など、さまざまな面で課題があります。

 また、彼らは日本特有の文化である「温泉」に非常に興味を持っています。ツアーでは「温泉の入り方教室」を実施しましたが、やはり習慣の違いから他人と入るのが駄目だったり、湯船につかって体を洗ってしまったりと、いろんな方がいました。温泉を楽しんでもらうにも、いろいろと工夫が必要なようです。

 今、各地で外国人観光客の誘致に力が入ってきています。最近ではアジア諸国からの観光客も増加しています。しかし、そのほとんどが企画もののツアーで、旅行会社の同行によるものです。別に言葉が通じなくても問題ありません。理想論になってしまいますが、将来的には、やはり外国人が「個人的」に気軽に安心して訪れることのできる環境を整えていくことが大切だと考えます。問題はさまざまあります。時間もかかると思います。でもそれを実現してこそ、本当の「国際観光リゾート」へと発展できるのではないでしょうか。










(上毛新聞 2006年5月23日掲載)