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県立尾瀬高校自然環境科主任教諭 松井 孝夫さん(沼田市善桂寺町)

【略歴】92年千葉大卒。西邑楽高を経て、97年尾瀬高教諭となり、翌年から現職。同校理科部顧問。ぐんま環境教育ネットワーク代表理事。


環境学習の推進

◎支援拠点の強化を期待

 子供たちの健全育成に「体験型の環境学習」が大きく貢献している。

 地域の子供たちが毎月、尾瀬高校に集まり、畑や川、植物園などを舞台に「自然とのふれあい」をテーマに活動している。小中学生はもちろん、地域の大人の人たちも参加しているが、この活動を案内するリーダーは高校生や二十歳前後の若者で、先生は地域の自然やお年寄り。テーマは土や水、生き物とのふれあい、伝統文化の継承などで、その活動は多様である。

 この活動が成果を挙げているのは、さまざまな「連携」がうまくいっているからである。

 近年、体験型の環境学習が「青少年の健全育成」、そして「社会問題の解決」にも効果があることが分かり、「体験型の環境学習(指導者の視点からは環境教育)」に取り組む指導者が増えている。

 ここでの指導者は、すべてを直接的に指導するのではなく、子供たちの主体的な活動を注意深く見守り、適切な支援が行えるかどうかにかかっている。さらに、地域社会との連携を図れるかどうかも重要となる。良質な自然体験の場は、一般的に学校などの施設外にあることが多い。そこは指導者のフィールドではないため、地域住民や専門家の協力が必要なのだ。

 しかし現状は、それぞれの「連携」相手の特色や機能を十分に理解できていない上、その存在さえ把握できないことが多い。地域社会と連携したくても、どんな組織やどんな人がいるのかといった情報があまりにも少ないのだ。特に小さな組織や個人、ボランティアの活動は行政でも把握が難しいため、弊害が出始めている。

 例えば、行政の別々の部署が企画した事業を、同じ民間団体に協力を依頼することがある。しかも別部署の立案であるにもかかわらず、ねらいや内容が同じような場合もある。また、民間団体よりも、他の団体や個人の方が依頼内容に適していることがある。このことは、民間から行政へ要望や協力依頼する場合も同様である。

 省庁レベルでは文部科学省の「省庁連携子ども体験型環境学習推進事業」のように大きな連携が始まっており、今後、県の行政レベルでも各部署の連携が期待できる。行政と民間との効果的な連携を図るためには、それぞれの役割や特色などを十分に理解しておく必要がある。そして、地域社会のさまざまな主体(民間団体や個人、学校などの教育機関など)が適切に参加、協力して、子供たちの健全育成を図ることが大切だ。

 官民の連携を促進し、地域の教育力を高めるには、情報伝達の効率化が大事だ。環境学習等に関する情報を集約する窓口の一本化を図るため、環境学習を総合的に推進するための支援拠点の強化を行政に期待したい。












(上毛新聞 2006年5月13日掲載)