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◎人生の大きな転機か 四月も終わりに近づきましたが、四月というと、私には桜と入学式が思い出されます。ちょうど十年前の四月十日、遅咲きだった満開の桜の中、私は大学に入学しました。 芸大、美大の実技試験というのは、受かってしまえば、その合格ラインが何となく分かるものなのですが、学科のように絶対的な正答がないので、受験勉強中は自分がどのレベルにいるのか、つかみづらいものです。 しかし今思うと、私の場合、自分の使う色にはっきりと表れておりました。最初に自分の作品を日本画として意識したころは、まだ予備校生だったので、その色調は暗く寒色系ばかりで、新岩黒緑青(深緑)や新岩黒群緑(あい色)を多く使っていました。けれども大学に受かった年、予備校で描いた日本画は、本来の私の好みである暖色系の色調になっておりました。 この変化は、自分の気持ちが合格のレベルまで達していた、つまり、その年に受かるべくして受かったことを、意味するものとしか思えません。ほとんどの合格者が、話してみると同じようなある種、何かしらのサインに気付いているようです。絵の実技試験の場合、基本以外は、心持ちで決まるのだと思います。 近ごろ、あなたの好みの色が変わったりしてはいませんか? もしくは、以前に色の好みが変わった時、今思えばそれは、何か人生の大きな転機だったのではありませんか? 意識はしていなくとも、あなた自身のどこかしらが、色の信号として、あなたに語りかけてくれているのかもしれません。逆に言えば、自分の色の好みの変化に気付きさえすれば、それまでのマイナス思考から決別することも、可能なのではないでしょうか。 実は今、五月に行う七人展「wellmet!06groupexhibition」(一―七日、十三―十六日、二十・二十一日、二十四―二十八日)に向けて準備を進めているのですが、彼らに初めて出会ったのが、その入学式です。いつの間にやら時はたち、今年で十年目の春を迎えることとなりました。 この七人展は、昨年オープンし初めて六人展を行ったアトリエU・E(富岡市七日市)で、今回は新たに一人を加え、同級生七人による展示となりました。昨年は私がプロデュースしましたが、今回はメンバーの一人である横山貴裕による企画展示となります。昨年は「今」と「自然」が全体のテーマだったのですが、今年はそういったテーマをあえて定めず、各人が現在行っている活動の延長として、七人が集結します。 そんな中で、私の作品テーマは「わたしとその六人」。ずっと今というものと色というものをテーマに、作品を描いてきました。そして今回、あらためて十年を振り返って、七人とそれを取り巻く今を表せたら…と思っております。その色に対して私が抱くイメージは、一般的なものとは異なるかもしれません。しかし、私の感じるところの七人七色が、一つの作品になればよいと考えています。 (上毛新聞 2006年4月28日掲載) |