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◎産官学民の参加が目標 桐生ではコミュニティーFM開局の機運が高まっている。総務省へ電波割り当て確認の段階だが、開局申請準備や運営組織の検討など半年ほど前から本格的な検討を開始している。地元ガス会社など十社が資本を提供し、NPO(民間非営利団体)をはじめとしたまちづくり団体や地元IT(情報技術)関連会社が立ち上げと運営を担当し「産・民」協働のユニークな試みが始まろうとしている。 事の発端は三年前、桐生ガスの塚越紀隆社長から地域貢献の事業展開について「まちのために、何か楽しいことができるといいね」という話があり、それが始まりだった。ころよく、中心商店街に開設した桐生ガスプラザの利活用を考えていたのも好材料となり、具体案が動き始めた。 全国で二百以上あるコミュニティーFM局は地域らしい特徴ある放送を続けているが、そのほとんどが苦しい経営を強いられている。それを承知でFM局立ち上げに協力を申し出たのは「桐生を何とかしたい」という一念と、それなりのビジョンと勝算らしきものがあったからだ。 NPOは設立五年、パソコン通信・渡良瀬ネット時代から数えると二十年の活動を続けてきた。この間に培った人のネットワークと貴重な経験から、「この指とまれ型プロジェクト」と「緩やかな連携」の二つを念頭に事業を展開し、おかげさまで何とか続いている。そんな活動の中で、桐生市民のポテンシャルを十分に実感し、多くの組織や人材との関係をつくらせていただいた。この「潜在する市民力」が頼りの企画でもある。 FM桐生局のコンセプトは「市民参加を基本とするメディアミックス型のラジオ局」となるはずで、放送だけにとらわれず、今注目のブログ、ソーシャル・ネットワーキング・サービス、ポッドキャスティングなどを駆使した地域情報化のための道具づくりを目指そうというもくろみ。もちろん、地域の新聞社やテレビ局、大学、行政、産業界の協力が必須条件でもある。 四月に開設したFM桐生開設準備室には人や情報が舞い込み始めている。三階の共有スペースにミニシアターを造りたいという人、ストリートミュージシャンの番組を作るという若者、リポーター希望の主婦、ディスクジョッキー希望の床屋さん、ボランティア希望の桐生出身の大学生、お手伝いしたいという団塊の世代、音楽CDの提供者、メールでは海外の協力者もあり、少しばかり手ごたえを感じ始めている。 それでも足りない人材を補うには各方面へのお願いごとも増えそうだ。例えば、大学生のボランティア活動履修システム、中高生の体験学習への組み込み、学校放送部の参加協力など、安定運営に必要な仕組みを切望している。桐生市やみどり市には行政情報や広報資料の提供、さらには各種支援について、相談をすることになるだろう。 最終的には「産官学民」参加型のコミュニティーFM局が目標である。まさに、その基本設計と運用モデルづくりを皆さまの力をいただきながら、今書き上げようとしている。そんなわけで、不安と期待を胸に二十一世紀のまちに必要なコミュニティーFM局の開局を目指して活動を続ける今日このごろである。 (上毛新聞 2006年4月19日掲載) |