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エッセイスト・教育研究家 山崎愛子さん(甘楽町天引)

【略歴】千葉大学教育学部、文理学部卒。甘楽・富岡地区などの小中学校に勤務、南牧磐戸小学校長をもって退職。甘楽町25区区長代理。同町生活改善グループ会長。


身に染む地域の生き方

◎区長代理を引き受けて

 区長代理をお引き受けして、はや一年が過ぎました。環境保健支部長という役職も付いていて、毎月のごみの分別収集の責任者ということになっています。しかし、わが甘楽町二十五区の上組では、平成十七年度から分別収集時に環境支部長は出なくてもよい、組長が責任を持ってする、ということになりました。しかし、そのように言ってくれた組の方のご好意がうれしくて、自分なりに出られるときは出ようと思いました。

 とはいえ、次の区長代理が選ばれるときは、わざわざ出なくても大丈夫と言い継いでやりたいと思っています。十七年度の最後に当たる三月の分別収集時、当番だった組長さんが「もう出なくてもいいですよ」と言ってくれました。あらためて、そう言われるとうれしくなります。と同時に、四年間、前の区長さんもその前も、みんなのためにやってきたのだなあと、そのご苦労がしみじみと思われます。

 甘楽町は早くから、細かく分別収集をしてきました。燃えるごみは広域で富岡市にお世話になって燃やしていますが、燃えないごみは町の埋め立て地に処分しなければなりません。ですから、少しでも埋め立て地が長く持つように、ごみは少しでも資源に還元できるよう一人一人が努力する必要があります。一人一人がそう考えて実行していけば、地球環境のために大きな力になります。ひいては自分のためになり、小さな徳を積み重ねることにもつながります。

 空き瓶や缶も洗っておき、分別収集日に持っていけば、環境に優しい生活ができるのではないでしょうか。

 十七年度の道路河川清掃時のことです。組の方全員で天引川の清掃や、高速道路の側道などの草刈り、ごみ拾いをしました。大きな袋にたくさんの缶や瓶が集まり、時間もオーバーしていたことから、皆さんの一生懸命きれいにする姿を見て、この缶や瓶は私が家に持ち帰って洗い、分別収集日に出しますからと言いました。

 すると、ある組長さんがおっしゃいました。「代理さんが家に持ち帰れば、一人で分別するんでしょう? 今、みんなですれば、すぐに終わりますよ! 川には水が流れていて、水道の水よりすぐきれいになりますから」。その一言で、拾った缶や瓶をみんなで洗い、分別することができました。

 こういう組長さん方に支えられて、区の役も二年目に入りました。地域の皆さんの家もしっかり覚えられました。地域の人たちの地域に根付いた生き方に教えられる毎日です。










(上毛新聞 2006年4月16日掲載)