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中央ユーラシアクラブ群馬事務局長 後藤 康子さん(前橋市西片貝町)

【略歴】共愛学園高卒。中央ユーラシアクラブ群馬事務局長。中央アジア・コーカサス研究所理事。日本ウズベキスタン協力委員会委員。インテリアゴトウ取締役会長。

ウズベキスタンの桜

◎女性大使の心が咲かす

 中央アジアの国々では、三月八日は「女性の日」として国民の祝日になっています。先日、日本に滞在する中央アジアの方から「おめでとうございます」と電話をいただき、日本の三月三日の大人版のように思いました。
 昨年、ウズベキスタンでシルクロード・スタディーツアー(三月十八日―二十七日)があり、参加しました。中央アジアでは歴史的に三月二十一日(日本では「春分の日」)を「ナウルーズ」と言い、新しい日(もともとはイラン太陽暦の元日)として春の訪れと農業の始まりを祝う重要な祝祭です。村落の広場などに人々が集まり、共食や伝統的遊戯、歌や踊りなどの娯楽、鍬(くわ)入れの儀礼などが行われてきました。ツアーでは、この祭りにも参加しました。
 二〇〇二年五月二十五日から二十九日まで、ウズベキスタン政府が国家的事業と位置付けた日本人抑留者記念碑五カ所と、鎮魂の碑九カ所の除幕式が同国の各地で行われました。日本からの参加者は遺族、元抑留者を含め百数十人(本県から四人参加)。元内閣官房参与の中山恭子さんが駐ウズベキスタンの日本大使を務めていたときの事業で、鎮魂の碑に刻まれた「永遠の平和と友好を誓う」は日本とウズベキスタン両国の友好親善の証しです。
 この式典の最後に行われた関係者交流会で、本県から参加した新津保義さん(中央ユーラシアクラブ群馬代表)があいさつを行い、参加者の涙を誘いました。関係者の方々、特に遺族の方々は深い安あん堵どを胸のうちに感じられたことと思います。
 このことがきっかけでCD「愛いとしきウズベキスタン」(作詞=後藤康子、補作=高坂のぼる、作曲・唄=大滝のぶたか)ができました。「澄んだ空一面に桜の蕾つぼみがふくらんで…」という歌い出しです。なぜ桜なのか。ウズベキスタンの日本人墓地すべてに桜の木が植樹されているからです。女性大使のハートが桜の花を咲かせたのだと信じています。
 昨年出版された中山恭子著『ウズベキスタンの桜』(中央出版)を、先月四日から二十六日まで前橋市のにぎわいステーションで開いた「シルクロード・中央アジア文化展」で紹介させていただきました。カラー写真もたくさんあり、分かりやすいと評判でした。
 この文化展はキルギス、カザフスタン、ウズベキスタン各共和国の大使館にご協力をいただき、二千有余人の方々にお出掛けをいただきました。また、中央アジア・絹の街マルギラン市(ウズベキスタン)からの留学生もかけつけ、絹の街を紹介してくれました。
 六月二十日に二十一世紀グレート・シルクロード夢追い人、加藤九祚国立民族学博物館名誉教授の群馬講演会を準備しています。「心はいつも旅をする」。先生のこの言葉にあやかり、先生と一緒に中央アジアの旅がしたいものです。

(上毛新聞 2006年3月27日掲載)