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◎前橋市民の共有財産に 来月一日から前橋市中央児童遊園(愛称「るなぱあく」)の運営を指定管理者として波宜亭(はぎてい)倶楽部が取り組みます。同倶楽部は平成十二年に発足した会員百二十五人のNPO(民間非営利団体)法人であり、萩原朔太郎が詩編「波宜亭」に歌った波宜亭の復元、文化ネットワークの構築、そして文化によるまちづくりを提唱しています。NPO法人が指定管理者となるのは県内で二番目であり、まちづくりのNPO法人が「るなぱあく」ほどの大きな施設の指定管理者となる事例は全国的にも極めて珍しいようです。 指定管理者制度は、十五年九月施行の改正地方自治法から始まった制度です。民間にできることは民間にとの考えから、それまでは「公の施設」は公共団体などの限られた団体しか管理者になれなかったものを、企業やNPO法人などの民間団体でも管理者になれる道を開きました。指定管理者選定の基準の中で、施設の価値を最も引き出すこと、管理経費の縮減が重要な項目として挙げられています。 二つの項目のうち、通常は経費縮減だけが喧伝(けんでん)されがちですが、これには注意が必要です。経費削減については、私たちも必要経費を最低限に絞った事業計画書を提案しました。しかし、ぎりぎりまでコストを削減した分、経営リスクが大きくなり、収入減は即赤字となります。 特に、想定外の事態が起こったときの対応については、今の指定管理者制度には課題があるように思われます。もう一つの、施設の価値を最も引き出す点では、私たちの提案は「夢のある提案」として評価されたと聞いています。提案のコンセプトは「にほんいちなつかしいゆうえんち」でした。 「るなぱあく」は、昭和二十九年に遊園地の原形が造られて以来、五十二年間続いています。この間、何度か別の施設に替える案が出され、閉園の危機がありました。昔のままの姿で現在も残っていることは不思議ともいえます。五十二年の歴史を経た分、市民の思い出が多く集まっている場所であり、幼少時に前橋で育った人なら必ず一度は行ったことのある原風景の一つです。いわば、市民の心のふるさとであり、市民共有の大切な宝物です。 この市民の宝物「るなぱあく」の意義を尊重していきたいと思います。そして、さらに「るなぱあく」に愛着を持っていただくために個人、グループ、企業、ボランティアなど、さまざまな形で参加できるネットワーク「るなぱあくサポーター」を組織する予定です。「るなぱあく」を愛し、前橋を愛する人が増えていくこと、また「るなぱあく」が前橋を大切に思う人たちの核になっていくことを願っています。 もちろん、そのような構想は安全・安心の運営が成り立ってのことであり、それが最大の責務です。安全な運営に全力を注いでまいりますので、よろしくお願いいたします。 (上毛新聞 2006年3月25日掲載) |