視点 オピニオン21
 ■raijinトップ ■上毛新聞ニュース 
環境カウンセラー 片亀 光さん(玉村町上新田)

【略歴】筑波大卒。環境評価機構代表取締役。高崎経済大非常勤講師。環境カウンセラー全国連合会常務理事。エコアクション21審査人。省エネルギー普及指導員。

エコアクション21


◎環境と経営の両立を

 環境経営ツールとしてISO14001に基づく環境マネジメントシステム(EMS)の導入が大企業を中心に進んでいる。取引先の環境配慮を求める「グリーン調達」により中小企業にも波及しているが、認証取得やその後の維持管理に要するコストと労力が実は大きな負担となっている。
 そんな中で、環境省が策定した中小事業者向けのEMSガイドラインである「エコアクション21(EA21)」が注目を集めている。ISOの五分の一から十分の一程度の費用で認証登録が可能で、国内では大手企業のグリーン調達基準や官公庁の入札資格においてもISOに準じて評価される。以下、概略を紹介する。
 (1)環境への負荷と取り組みの自己チェック
 エネルギー・資源の投入量、廃棄物排出量などを調べ、専用シートに入力して自社の環境負荷の現状を把握する。また、省エネルギーや廃棄物削減、化学物質管理などについて、チェックシートにより取り組みの現状を評価する。その結果を踏まえて重点を決め、事業内容にふさわしい環境目標を設定し、それを達成するための環境活動計画を策定する。
 (2)環境法令の順守確認
 法令順守をチェックしていくと、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、騒音規制法などの特定施設の届け出が漏れているケースが意外に多い。また、廃棄物処理法に基づく委託契約やマニフェスト管理が行われていないケースもある。これらを見直して必要な届け出を確実に行い、規制値があればそれを順守していることを確認することが求められる。
 (3)環境経営システム構築
 環境方針、教育訓練、緊急事態対応、文書・記録の作成など、ISOの要求事項を簡略化した十二項目の要求事項に基づいてEMSを構築するが、分厚いマニュアルを作成する必要はない。自社の現状に見合ったPDCAマネジメントサイクル(計画・実行・評価・見直し)が継続するルールが策定・運用されていることが確認できれば認証登録される。
 (4)環境活動リポートの作成・公表
 ISOにはない特徴として、地域社会や取引先等の利害関係者に対して、自社の環境への取り組み状況を積極的に公開していく環境コミュニケーションのツールとして「環境活動リポート」を毎年作成し、EA21中央事務局のホームページ(http‥//www.ea21.jp)で公表することが義務づけられている。これまで登録された事業者(全国六百十三社、県内九社)の環境活動リポートはすべてPDFファイルで閲覧することができるので、同業他社のリポートを参考にしていただきたい。
 環境経営により、環境負荷を低減することは経費削減につながるだけでなく、信用向上による営業拡大にもプラスになる。今月二十二日に前橋市の県公社ビルで環境経営に関するセミナーが開催される。EA21とISO14001の違いや本県独自の「環境GS(ぐんまスタンダード)認定制度」についての解説もあるので、ぜひご参加いただきたい。詳しいことは主催者(NPOぐんま、電話027・326・6677)へ。

(上毛新聞 2006年3月9日掲載)