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オーエックス関東社長 生方 潤一さん(伊勢崎市東町)

【略歴】足尾町出身。元国際A級ライダー。92年に脊髄損傷後、伊勢崎市で車いす販売とレース参加支援の会社を創立。ぐんま障害者スポーツ・サポート“41”理事。

障害者占有駐車場


◎健常者は車置かないで

 青地に白色の車いすのマークと、四つ葉のクローバーのマークの違いはご存じだろうか。どちらも車両に取り付けられているのを見かける。前者は「国際シンボルマーク」で、すべての障害者のもの。後者は「身体障害者マーク」で、肢体不自由者が運転する車両に付けるもの。取り付けられている車両に対しての走行中の安全確保は、道路交通法に明記されている。

 しかし、「国際シンボルマーク」を車両に取り付けることは、本来の目的に沿っていない。建物やその部分(トイレ等)、公共輸送機関に限られている。そして、駐車場においては、このマークは「障害者占有」を意味する。前回、僕が障害を負って車いすの生活となり、いろいろな壁を感じたことをお話したが、近年、ユニバーサルデザインが基本となり、建物等の壁は低いものになった。しかし、モラルの壁は高いようだ。

 けがをした十四年前も今も、障害者占有駐車場に健常者が車を置いている。その駐車場はすべての障害者のためにある。障害個所によって必要としない人もいるが、僕にとっては重要だ。自動車を運転し、駐車場に入る。降りる時はドアを大きく開け、車いすを下ろしてシートから乗り移る。乗る時も同様だ。広い車間を必要とする。そのため、障害者占有駐車場は、広く確保されている。

 僕が車で郵便局に行った時、一台の車両がちゅうちょすることなく障害者エリアに車両を置いた。思わず車内から「そこは障害者スペースですよ」と声を掛けた。その人は怒った様子で「局長が置いていいって!」と言い返してきた。よいと言った局長も局長だが、ほかにも空きがあったのに、そこに置く人も人だ。抗議をしようと車から降りかけると、しぶしぶ車両を移動した。僕の姿を見てのことなのだろうか。

 障害者エリアは、障害手帳を持つ内臓疾患者に対しても占有だ。そのため、建物の入り口近くに位置することが多い。それを利用する心ない人もいる。僕はデパートで買い物を終え、駐車場に戻った時、びっくりしたことがある。自分の車両と隣の車両との間に軽自動車が一台。こんなすき間によくも入れたものだ。仕方なく助手席側からやっとの思いで乗り込み、運転席側へ移動した。モラルがない。それとも、障害者は出かけてはいけないのだろうか。

 肢体不自由者には、警察署から駐車禁止除外指定車の証明書が発行される。道路標識等で駐車が禁止されている場所への駐車が許される。しかし、道路にはなるべく置かない。交通の妨げにもなりかねないからだ。だからこそ、障害者占有駐車場は大切だ。しかし、僕は車から降りない時、そこには置かない。ほかに必要とする人がいる。障害者同士が気を使う。にもかかわらず、健常者がそこに車両を置く。

 マークの意味は、誤用があるにしても分かりやすいはず。僕は、学校などで福祉について講義をすることがある。その時、この駐車エリアがなぜあるのかを必ず説明している。皆さんも、そこには車を置かないでほしい。

(上毛新聞 2006年2月25日掲載)