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◎官民一体の組織が必要 日本各地で中心市街地の衰退が進んでいる。前橋中心街も例外ではない。例外でないどころか、まちづくり関係者の間では、前橋は全国でも屈指の寂れている県都として有名である、という。「シャッター通り」の状況を通り越し、空き地や駐車場が目立ち始め、中心街としての体を成さなくなりつつある。その風景を「焼け野原」と例えた人もいる。 前橋中心市街地の活性化は、行政、商工会議所、民間団体などがさまざまな取り組みをしてきた。また、現在も取り組んでいる。その中の一つに、一昨年十一月に発足した「前橋市まちづくりにぎわい再生計画プロジェクトチーム」がある。これには三つの分科会がある。私の属するグランドデザイン検討グループの目的は、「前橋市中心市街地活性化基本計画」を改定するための提案書を作成することであった。 会議はほぼ毎週土曜日に開催した。昨年七月までに正規の会議は二十七回。一回がほぼ二―二時間半。会議の後、多くのメンバーが食事会に移行し、そこでも会議の延長。二十七回の会議と同じ数だけ食事会があった。つまり五十四回会議を開催したのと同じであった。要職に就く多忙なメンバーばかりであったが、よく続いたものだ、と今にして思う。 提案書は、十年後の中心街の姿を十のビジョンで示し、それに基づいて、8番街、リヴィン跡地、勢多会館跡地などを位置づけた。この提案書をもとに、昨年秋に基本計画が改定され、現在はこの基本計画にのっとり中心市街地の諸施策が検討されている。 この分科会に参加して私が学んだことが二つある。一つは、「中心市街地」のとらえ方、もう一つは活性化のための推進組織の重要性である。 通常は「中心市街地=中心商店街」ととらえられがちである。確かに、中心市街地の主力はデパート・商店である。商店街であるなら商店主が自助努力で頑張ればよい、市民や行政が助けることではない。私もそう思う。しかし、中心市街地と中心商店街とは違う、とも思う。前橋の歴史を見てみると、中心市街地は前橋の近代の歴史と文化が確かに集約していた。また、市民の思い出が重なりあった場所である。前橋の「顔」であり、市民共有の財産なのである。 中心市街地復活はボランティアでは到底できない。一時的な善意や意欲だけでは中心街は変わらない。まちづくりを集中的・専門的・持続的に行う人と組織が必要である。経済的に自立していて常勤者のいる組織、例えば「まちづくり会社」である。そして、市民の英知を結集したシンクタンクを作り、「まちづくり会社」をサポートしつつ、まちづくりの新たな結集軸となる全市的な官民一体の組織ができることこそが必要である。 中心市街地は市民共有の財産である。ならば市民の力で何とかできないものか。 (上毛新聞 2006年2月3日掲載) |