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四万温泉協会事務局長 宮崎 信雄さん(中之条町四万)

【略歴】81年四万温泉協会に入り93年から現職。群馬の旅特別宣伝協議会幹事、連続テレビ小説「ファイト」支援県民会議委員、05年日本観光協会関東支部表彰。

「ファイト」成功の鍵


◎群馬全体が宣伝できた

 NHK連続テレビ小説「ファイト」の放送も十月一日をもって終了しました。昨年一月、NHKのチーフプロデューサーの方から初めてお話をお聞きしたときは、温泉旅館を舞台にした短編ドラマかと思いましたが、半年間の朝ドラということで大変な驚きでした。そして、県内の温泉地から四万温泉が選ばれたこともただただ驚きで、名誉なことと思いました。

 また、ドラマの内容の一部に疎開学童のお話が出てきたり、出演者の中に児玉清さんがいらっしゃるとお聞きしたときに、思い当たることがありました。実は児玉清さんは戦時中の小学校五年生のときに、四万温泉の旅館に疎開されていたご経験があり、毎年同級生と四万温泉へ「思い出旅行」をなさっておられます。そんなご縁も今回あったのかと思いました。

 そして、高崎市や嬬恋村やいろいろな所でのロケが決まると、県の対応の早さには目を見張るものがありました。まず、地域創造課の中に専任部門「ファイト」支援グループを設置し、早くからの広報活動、NHKとの連絡調整と、私たちロケ地の担当者には大変な手助けとなっていただきました。また、「ファイト」県民会議という会の設立で、このドラマを県全体の取り組みとして位置付けし、群馬のファイター募集やファイトマークの公募、ファイトカップなどを行い、ドラマの最終回の日にはファイトフェスティバルを手掛けられました。

 このフェスティバルは、県警音楽隊による演奏、「ファイト」にかかわった方々のパネルディスカッション、駒乃館主人・駒田隆行役の児玉さん、若女将・敏美役の三原じゅん子さん、木戸檀役の田中冴樹君らによるトークショー、抽選会など盛りだくさんのイベント内容で、会場となった県民会館は立ち見が出るほど盛況ぶりでした。

 県単位で取り組んでいただいたこの県民会議は、NHKの連続テレビ小説が始まって以来だそうで、NHKの方々が大変感激をされておられました。また、今放送中の「風のハルカ」のロケ地の湯布院の観光担当者から「四万温泉はロケ地対策としてどういう取り組みをされましたか」と問い合わせがあり、「県の『ファイト』支援グループが統括していただいたので、四万温泉としては特に委員会などは設置せずに対応できました」とお答えしたら、大変びっくりされていました。

 去る七月十二日、帝国ホテルでの「まるごと群馬デーPartIV」では、各県民局ブースのほかにファイトコーナーもあり、児玉さん、NHKのチーフプロデューサーも駆けつけていただきました。また、多数のマスコミ、旅行関係者に出席していただいたことで、このドラマが本県に及ぼした影響は多大なるものがあったと思います。ロケ地だけでなく群馬全体が宣伝できたことが、今回の成功の鍵だったのではないでしょうか。

 放送は終了しましたが、これで終わることがなく「ファイトのロケ地・群馬」をいつまでも引き継ぎ、宣伝活動を行っていければと思います。

(上毛新聞 2005年12月3日掲載)