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はるなみずべ楽会会長 戸塚 歳男さん(榛名町高浜)

【略歴】高崎経済大卒。現像会社や写真のアシスタントを経て写真館を経営。その傍らカナディアンカヌーに魅せられ、水と自然にいやされる生活を送っている。

水辺での自然体験


◎重要なのは安全管理

 最近では、「自然環境の中で、子供に体験活動をさせることは、子供の健全育成にとって、非常に大切なことだ」という文部科学省の調査結果が出ています。

 自然は、私たち人間にとって本当に大切な基礎の部分を教えてくれるのです。特に、子供たちには、彼らの心に響く自然体験活動が必要なのです。

 自然環境の中でも、水辺での体験活動は、今とても有効だと思います。人間は古来より「水」を利用し、「水」を治め、「水」と親しみながら生活し、文化や文明を築いてきました。

 海なし県の私たちにとって、最も身近な自然の水は川ですが、近年、川で遊んでいる子供たちの姿はほとんど見かけなくなってしまいました。

 そこで、私たち「はるなみずべ楽会」では、烏川をもっと身近に感じながら、自然体験をしてもらおうと、「川ガキ育成プロジェクト」を以前より、実施してきました。

 Eボート、カヌー、川遊び、マイパドル作り、手打ちうどん作り、アウトドアクッキング、川下り等のプログラムです。

 Eボートに乗り、パドルで漕こぐ。パドルは船体に固定されていないので、力の伝達はダイレクトに感じる。真っすぐ進んだり、右に左に回ったり、思った通りに漕そう艇ていするのが難しい、難しいから考える、体全体を使って工夫してみる。ひっくり返るかも、と浮遊感を感じながら漕ぐ、だから面白いのです。

 川下りの時、生き物を見つけては歓喜し、投棄されたごみを見ては憂う。子供たちは、自然への順応性や感受性を決して失ってはいないのです。

 マイパドル作りは、水源地域として森林環境保全の大切さを感じてもらうプログラムです。親子で協力して、パドルやコースター作りを行いました。パドルは榛名町の間伐材の板を張り合わせ、カンナやナイフで削り、ヤスリをかけて仕上げます。ここでは力のあるお父さん方が大活躍し、父親株が急上昇というおまけもありました。

 食事作りは、地粉と地域の食材を使い、火起こしから始めます。素材の生地は同じでも、味付けやトッピング、焼き方などが異なるので、各自のオリジナル食品が出来上がり、あちこちで味見の試食が始まり、交流の場にもなりました。

 このような水辺での自然体験活動を行う場合、特に重要なことは安全管理です。水を甘く見ることも、怖がり過ぎることも良くありません。

 フィールドの安全確認や自然の変化、参加者の体調や行動をスタッフ全員で敏感に感じ、判断し、行動しています。でも、終了のあいさつの時、子供から「おじいちゃん、今度はいつやるの!」と目をキラキラさせて聞かれると、疲れも飛んでしまいます。

(上毛新聞 2005年11月18日掲載)