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◎広報記事で改善望む 縁切寺満徳寺資料館が所在する尾島町は、去る三月二十八日に太田市と合併し、新太田市となった。この合併に伴う戸惑い、驚きなどにふれたい。 周知の通り、縁切寺満徳寺は鎌倉の東慶寺と並んで日本に二つ、そして世界に二つの縁切寺であった。旧尾島町では世界に誇るべき縁切寺という意味から、あえて「町立」を付けなかった。しかし、合併後は何でも「太田市立」を冠することになり、市・県を超える存在と認識していた館長としては残念な思いであった。 ところで、資料館開館以来の悩みはアクセスの悪さである。東慶寺がJR北鎌倉から徒歩四分というのに対して、満徳寺の方は東武伊勢崎線の世良田が最寄り駅で徒歩四十五分、バス・タクシーなしである。 この交通の便の悪さにもかかわらず足を運んでもらうには、面白い企画展の開催と日常的に広報活動を展開する以外にない。合併で人口一万ほどの旧尾島町から約二十倍の人口を擁する新太田市の広報誌「広報おおた」が活用できると意気込んだ。 催し物欄に原稿を依頼し、「広報おおた」九月一日号に、最初の徳川大学(公開講座は地名を冠して、こう称する)聴講の募集が掲載された。表題は徳川大学落語講演会で、日時、会場、募集定員、申し込み・問い合わせ先はあるが、講師である落語家柳家はん治、柳亭市馬両師匠の名はない。そのため「復元した本堂でテープを聞かせるのですか」との質問を受け、びっくりした。 講師名がないのは誤植かと思って、次の十月一日号の徳川大学の伝統文化講座「琵琶」の記事をみた。やはり、講師の荒井姿水(琵琶)と賛助出演の中国三弦奏者、費堅蓉の名前はない。この号には東毛歴史資料館の講演会「長楽寺と新田氏」が載っていたが、講師である大正大学教授、小此木輝之の名はなかった。 この種の文章は言うまでもないが、だれが、いつ、どこで、何を、どのようにする(した)かが書かれなければならない。一番肝心の「だれ」がないのは欠陥記事と思われ、担当者に問い合わせたら、従来このようにやってきたという返事であった(改善を検討したいとの回答も得たが)。講師名がないほかに、琵琶について町広報とのスペースを比較すると、約半分になった。しかし、新太田市の全戸に配布される広報紙には期待したいのである。 さて、今月十九日には、『御宿かわせみ』で有名な作家の平岩弓枝さんがやって来る。午後二時から尾島生涯学習センターで「江戸の元気」と題する講演をお願いしている。広報の原稿では「徳川大学講演会」とすれば講師平岩さんの名前がカットされそうなので、表題を「平岩弓枝講演会」とするよう指示した。これで講師名がなくなることはあるまいが、今後の広報記事に改善がみられるか、注目したい。 (上毛新聞 2005年11月15日掲載) |