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◎市民主導で地域つくる 足尾の山に緑を復活させようと活動を続ける「足尾に緑を育てる会」(代表=神山英昭さん)もそうだが、渡良瀬遊水池の河川氾濫(はんらん)原としての豊かな自然を保全し、より豊かな生態系を復元かつ創造しようと取り組んでいる「わたらせ未来基金」(代表=飯島博さん)の活動も、大きな視点でとらえるなら「地域づくり」ということに、どうやらなる。 そして、地域づくりと言ったときに、長い時の流れを経て人々が学んできたことは、市民が主役にならなければ真の地域づくりは成り立たない、ということであった。従って、そこから浮かび上がってくる問題とは、どのような形で市民が主役になっていくのか、その在り方といったことに及んでいく。 今、盛んに人口に膾炙(かいしゃ)されていることは非営利法人、すなわちNPO組織による地域づくりである。しかし残念ながら、こうした形は市民サイドから生まれてきたものではない。端的に語るなら、行政サイドからの苦肉の策として、生まれてきたものなのだ。 今や国も地方も借金だるま。ここは自治体の職員が動く代わりに、市民ボランティアを組織して動いてもらった方がより少ない予算で地域づくりが進められる―ということであった。金やモノだけではシアワセになれない、心が充実してこそシアワセになれる、との時代風潮ともうまくなじんで、さまざまなNPO組織が誕生していった。 これが一九九〇年代から二十一世紀初頭にかけての、社会現象を語るときの大きな特徴だといっていい。ネックは行政サイドから発想されたモノだけに、活動資金支援を受けているケースが多いこと。自身ではこれを「行政サービスの行き届きにくい分野を補完する草の根的市民ボランティア組織」と名付けている。現在、活動を続けるNPO組織の主流をなすものであり、それなりの実績を上げているNPOも少なくはない。 一方、こうした動きとは別に、九〇年代後半から市民サイドからの発想で活動を始めるNPOが出現してきた。いや、そうではなく、初めに活動があり、その幅をより広げる意図でNPOになった、というのが正確なところ。前述した「足尾に緑を育てる会」がまさにそれだ。自身ではこれを「市民運動から発展した、特定事業における提言実行型組織」と呼んでいる。もともと自前で幅広く活動資金を集めてきたエネルギーのある組織なので、今後の展開が注目される。 ところで、もう一つの組織「わたらせ未来基金」(二〇〇二年設立)の一連の活動はどうだろうか。紙面の都合で詳しくは語れないが、代表の飯島さんは「地域におけるNPOの役割を、行政を補完するという位置づけから、地域づくりの主体としての位置づけへと転換していかなければならない」と語る。 自身では、これを「タテ割り行政のワクを超えたネットワーク型社会をめざす市民主導型の組織」と名付けている。 (上毛新聞 2005年11月11日掲載) |