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高崎経済大学地域政策学部教授 生沼 裕さん(東京都在住)

【略歴】栃木県生まれ。89年に東京大法学部を卒業し、自治省(現総務省)入省。環境庁、内閣官房、大阪府などの勤務を経て自治大学校教授。04年4月から現職。

SIFE活動


◎学生の社会貢献に期待

 去る七月六日、東京で開催された大学生による社会貢献事業国際コンテストの初めての国内大会において、高経大の学生チーム(九人)が優勝し、十月五―七日にカナダのトロントで開催された世界大会に日本代表チームとして出場した。

 このコンテストは「SIFE JAPAN国内大会」といい、高崎経済大学や早稲田大学、慶応大学、一橋大学、青山学院大学など、社会貢献事業を実施している七大学の学生チームが参加。英語によるプレゼンテーションに対する審査が行われた。

 世界大会では一ラウンド、二ラウンド、最終ラウンドと審査が行われ、ジンバブエ大学チームが優勝。高経大チームは残念ながら一ラウンドで敗退したが、世界のトップクラスの経営者などが審査員を務めるひのき舞台への出場とあって、彼らにとって何ものにも替え難い貴重な経験となったようだ。

 このコンテストは、アメリカのミズーリ州に本部を置く非営利団体「Student In Free Enterprise」(通称、頭文字のS・I・F・Eをとって「サイフ」という)が主催している。SIFEは世界の約五十カ国、千八百校を超える大学の学生による社会貢献活動をサポートしており、コミュニケーション能力・リーダーシップ能力・企画力などの育成、少子化や環境問題、近隣諸国との関係など、さまざまな問題に国際的視野を持って的確に対応できる人材の育成を目的に活動している。

 国内大会において、高経大チームは、彼ら学生によって設立されたNPO法人「DNA」や学内ゼミナールの学生による取り組みと英語によるプレゼンテーション能力が高く評価され、決勝で慶応大学チームを破り、見事優勝を勝ち取った。

 評価された取り組みは(1)ジョブカフェ事業=群馬県若者就職支援センター「ジョブカフェぐんま」での若者による若者の就職支援活動で、カウンセリングから職業紹介まで一貫した就職支援を提供(2)CANWORK(キャンワーク)事業=高崎市で働いている若者への情報提供・交流支援活動(3)コミュニティー再生事業=高崎市の中心市街地の活性化や倉渕村の地域活性化に向けたコミュニティー再生活動(4)ラジコム事業=学生の自主企画による地域づくりに関するラジオ放送―などである。

 世界大会出場後、彼らはニューヨークに立ち寄り、同様の取り組みを行っている現地のNPOと意見交換してきた。今後も、これらのNPOとの間で情報交換を継続していきたいという。ニートやフリーターの増加が深刻な社会問題となっている今日、彼らのこのような取り組みに対する期待は大きい。彼らをはじめとする学生・若者の社会貢献活動における、さらなる活躍を期待してやまない。

(上毛新聞 2005年11月6日掲載)