視点 オピニオン21
 ■raijinトップ ■上毛新聞ニュース 
ERCエコリサーチセンター代表 江原 稔之さん(千代田町下中森)

【略歴】館林高校卒。半導体関連企業を退職後、環境保全支援ERCエコリサーチセンター創設。環境に優しい農場を経営するとともに、住環境を考えライフケア事業も展開中。

野鳥観察


◎残したい自然の営み

 秋が深まろうとしています。私は、この時期の澄んだ空気が好きです。木々は紅葉して本来の色を身につけ、木枯らしが吹くころには眠りにつきます。

 一方、この季節はバードウオッチングを楽しむ季節でもあります。私自身、野鳥観察をいつごろから始めたのか定かではありませんが、使い古した野鳥観察の本とフィールドノートがあり、そのノートを見ると、利根川上流河川敷、群馬野鳥の森、館林の多々良沼、城沼などに出かけていたみたいです。

 観察のきっかけは、会社の先輩がやっていて「双眼鏡で見る野鳥は、肉眼で見るのと違って面白いぜ」と言葉巧みに話すので、誘われるままに、双眼鏡とフィールドスコープを購入し、二人で野鳥観察に出かけたのが始まりです。

 先輩の話は半信半疑でしたが、双眼鏡をのぞいてみるとまさに感動でした。双眼鏡を通して見る野鳥のしぐさがかわいく、こっけいなんです。時間を忘れて、豊かな時を過ごしている気がしました。この初体験で野鳥観察が面白くなり、毎週いろいろな所へ出かけるようになりました。

 今では、出かけることも少なくなりましたが、餌台を作って窓越しに野鳥観察を行っています。特に冬場は水辺が少なくなりますから、いろいろな野鳥を観察することができます。野鳥観察の本が一冊あればいいんです。ぜひ、皆さんも始めてみてください。ご家族で野鳥の名前を当てたりしていると、一日眺めても飽きないでしょう。

 私はあくまでも趣味で行っていますから、専門的知識はありませんが、見て楽しみ、興味を持って調べてみると、新しい発見があります。

 ここで、取って置きの観察方法を教えましょう。冬場、窓越しに木の枝があったら、枝からリンゴをつるしておきます。枝がない場合は棒を立て、そこからリンゴをつるしても大丈夫です。ただ、近くに止まり木がないと駄目です。そうすると、二、三日で野鳥がハミングしながらリンゴをついばみますから試してください。その鳥の名前はヒヨドリです。皆さんも、よく観察してください。窓越しにそっと見るのがコツです。

 長々と野鳥観察のことを書きましたが、私としては、皆さんが何らかの形で自然とかかわってほしいのです。

 野草観察、昆虫採集、川遊び、あるいは散歩、ジョギング、ハイキングでもよいですから自然と触れ合い、四季の移り変わりを実感してほしいのです。自然の営みが私たちに身近に感じられ、記憶の財産である自然から、変わらぬ自然の営みをそのまま財産として、少しでも多く残したいものです。

(上毛新聞 2005年10月3日掲載)