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アドベンチャー集団DO!代表 黛 徳男さん(榛名町中室田)

【略歴】82年に上野村で子供たちに自然体験させる「ガキ大将・スクール」を開設。現在は県内各地で開催し、県や学校などの自然体験事業にもかかわる。ぐんま環境教育ネット理事。

自然体験キャンプ


◎選ぶ前に目的決めよう

 夏休みは、子供たちが自然体験活動に参加する絶好の機会だ。夏休み中には多くの自然体験事業が各地で開催される。県や市町村、教育委員会、少年自然の家などが行うもの、青少年育成団体やボランティア団体が実施するもの、そして民間の野外教育団体が主催するものなど、実に多様である。

 これらの団体が開催する自然体験キャンプは、主催団体ごとに目的やねらい、内容や参加費もまた多様であり、どこを選んだらいいのか迷うことも多いと思う。そこで、自然体験キャンプを選ぶ際のポイントをいくつか紹介してみたい。

 まず大切なのは、何を目的にして参加したいのかをはっきりさせることである。例えば、ひと夏の楽しい思い出づくりにしたいとか、友達をたくさんつくりたい、あるいは冒険的な体験や教育的な効果を期待したい、虫捕りや川遊びなど、夏ならではの活動に参加したいなど。一般に、公的機関の行う事業はプログラムがあらかじめ決められていることが多い。民間団体の場合にはプログラムが緩やかで、臨機応変に内容の変更を行うところもある。ノンプログラムを貫いている団体もある。

 参加の目的が決まったら、各団体の資料を取り寄せて内容を比較検討する。公的機関やボランティア団体が主催する事業は参加費がかなり安いのが特長だ。一方、民間の野外教育団体などが主催する事業は参加費が高くなる。が、高い分、充実した内容が期待できる。

 ただ、誤解しないでほしいのは、アクティビティーやプログラムがたくさん盛り込まれていることがいいキャンプではない、ということだ。学校教育と同じように、プログラムの詰め込みは、参加する子供たちにとって決して心地よいものではない。むしろ、ゆとりあるプログラムの中で、感性豊かな体験をすることこそ真に必要なことなのである。

 もう一つ注意してほしいのが、各団体の安全対策だ。スタッフが事故防止の意識を持ち、救急法や応急処置などの技術を持っている場合、資料や説明会の中でそういう説明がなされるのが通常だ。何の説明もなく、資料にも記述がない場合は注意が必要である。中には傷害保険をかけていない団体もあるので気をつけてほしい。おかしいと思ったことは遠慮なく問い合わせてみることである。

 ところで、子供たちをキャンプに送り出すとき、あまりに多くのことを期待している方はいないだろうか。

 子供たちは決して親の期待に応えるためにキャンプに出かけるのではない。あくまでも自分自身のために参加するのである。自然の中での非日常的な体験を通して心を解放したり、自然の厳しさに直面することで自己を成長させたり、五感を通して自然のありさまに感動したりすること、それらすべてが、子供たちの「心の宝物」になっているということを、ぜひ知っておいてもらいたいと思うのである。

(上毛新聞 2005年8月3日掲載)