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◎観劇でリフレッシュを 今年は県内各地で優れたミュージカルが上演されて、大勢の人々が劇場に集い、深い感動を味わったり、気の利いたジョークで大笑いしたり、心のリフレッシュをしています。と言っても、劇団四季やふるさとキャラバンのような、名の知れた劇団の公演ではありません。県内で活動する大学生や高校生の作るミュージカルなのです。しかも、すべて無料公演なのだから、見逃した人はお気の毒としか言いようがありません。 二月と三月は、ミュージカル劇団アラムニーの「レ・ミゼラブル」の公演が太田、前橋、藤岡の三会場で四公演行われ、延べ五千人が鑑賞しました。帝国劇場でロングラン公演をしているこの巨大な作品は、地方では上演不可能といわれていますが、この劇団は音源をすべてコンピューターで作り出し、ロンドンから楽譜を取り寄せてアレンジした上、オリジナル台本をもとに迫力ある舞台を作ることに成功しているのです。 専門家も驚く高レベルの舞台空間は、観客を圧倒して、深い感動を呼びました。それもそのはずで、歌唱力を問われるジャン・バルジャンやコゼットらは、大学で声楽を専攻している団員が演じ、ダンスはバレエのインストラクターたちが出演しているのです。 六月には、太田市民会館で太田女子高音楽部の「ファントム」が上演されました。二回公演に、延べ二千人の観客がオペラ座の怪人を原作とする、美しい曲想のミュージカルを堪能しました。この作品も、部員たちが楽譜起こしからオーケストラ用の編曲、作曲までやってのけ、ファントムが亡き母親と清らかなクリスティーヌの愛により再生する場面では、客席の感動は最高潮に達して、涙をふく姿があちこちで見受けられました。 この音楽部は毎年、本格的なミュージカルを発表して十七年目を迎えた伝統校です。そのため昨年より今年、今年より来年と、より複雑で内容の深いメジャーな作品を自分たちで選び出し、一年かけて作り上げてしまうのです。このような舞台を見ると、今どきの高校生はなどと、ぼやく必要はないと実感させられます。 そして、七月中旬には前橋女子高音楽部の「アイーダ」が、県民会館大ホールで三公演行われるのです。よく知られたオペラの作品ではなく、ウォルト・ディズニー・プロが「ライオン・キング」に継ぐ舞台作品として制作し、日本では大阪に行かなくては見られないスケールの大きな作品です。エルトン・ジョン作曲によるロックミュージックが古代エジプトのエキゾチックな雰囲気を醸し出し、三千年前のドラマが華麗に展開されます。 前女音楽部は部員数が百三十人を超え、部内にオーケストラを持つ全国屈指の部活動を誇ります。上演時間は三時間三十分に達し、内容の多彩さと表現の華やかさは、見る者を引き付けずにはおきません。三組が日替わりで表役を務めるトリプルキャストというのもすごいの一言、ぜひご観劇をお勧めしたい。 (上毛新聞 2005年6月27日掲載) |