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◎戸外学習できる環境を 初夏の暖かさに誘われて、チョウたちが花のみつを求めて飛び交う季節がまたやって来た。子供たちはさっそく虫捕り網を持ち出し、チョウと戯れている。その姿は何とものどかで、ほほ笑ましい。子供たちが夢中になってチョウを追いかける、そんな自然環境が身近にはほとんどなくなってしまった。 文部科学省が先の教育要領の改訂により、小学校の理科の教育内容として身近な自然の動植物を扱う中で、昆虫たちの生態などをたくさん盛り込んだ。このことは、以前に新聞などマスコミにも取り上げられていたので、ご存じの方も多いだろう。近所の小学生に三、四年生の理科の教科書を借りて、内容を確認してみた。教科書は全ページカラーで写真も大きく、児童には学習意欲を喚起するようなものであった。 三年生の教科書で取り上げられている昆虫はモンシロチョウ、アゲハ、ショウリョウバッタ、シオカラトンボ、アブラゼミなど。モンシロチョウとシオカラトンボの二種類が特に詳しく、卵から成虫までの完全変態と不完全変態の状態が写真入りで解説してあった。 その教科書では「調べてみよう、まとめてみよう」などの表現で、児童が主体的に教室内外で学習するような構成になっている。そして、児童が校外学習をする場合の注意事項も併記してある。児童が身近で安心して戸外学習ができる環境を学校内につくることが大事だと思う。 新里昆虫研究会の事業の一つに「ビオトープを造ろう」という活動があり、村内の小学校に会員が支援してホタルのすむ環境をつくった。ビオトープはドイツ語で「生物のすむ場所」を表し、家庭や幼稚園、学校、公園などで全国的に造られている。県内の学校ビオトープの数はわずかであるが、広まりつつある。 今月一日付の上毛新聞に赤堀東小学校のビオトープが紹介された。これは、地域やPTAの人たちが協力して造り上げたようで、今でもこの人たちが花木の移植や草むしりなど管理面で協力しているという。 そんな地域の人たちの支援を受けて、児童は「百種以上の虫たちを呼ぼう」をテーマに、生き物の生息環境をつくっているという。児童が目を輝かせ、歓声を上げて生き物や植物を観察している姿が想像できる。赤堀東小学校の児童は、校内で自然の四季折々の直接体験ができて本当に幸せである。 地域の中で、子供たちが安心して遊べる空間、時間、仲間がないといわれている。大人たちは子供が身近で、いつでも安心して遊べるような環境づくりを真剣に取り組むべきではないか。 二十一世紀は地球環境の時代ともいわれている。ビオトープを通して、児童は自然の不思議さや美しさを体験し、環境を考える場となるだろう。また、PTAや地域の人たちと学校を結び付ける役割も果たす存在となるものと確信する。 (上毛新聞 2005年6月3日掲載) |