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◎将来見据え読み直そう 戦後六十年、五十八回目の憲法記念日を迎えた今、改憲論議が盛んである。そこで、新聞六社の憲法記念日の「社説」や「主張」「論説」を比較してみた。各社のテーマと論調は、次のようである。 朝日「世直し気分と歴史の重さ 改憲論議を考える」 (1)同社の調査では憲法改正に賛成は過半数を超えるが、(2)国会の憲法調査会の最終報告を「知らない」人が71%もいる。(3)九条の平和主義は、過ちを繰り返さないという不戦の証しでもある。日本に定着した「平和ブランド」は戦後日本の資産であるから、九条を変えるなら、それを捨て去るかどうかの議論が欠かせない。 毎日「憲法記念日 改憲への原則三点を確認する」 (1)国際的な枠組みを前提に平和主義の日本国憲法が成立していることを忘れてはならない。(2)集団自衛権論争よりも「常任理事国入り」を。(3)憲法に国民の義務や国柄を盛り込む必要はない。 読売「新憲法へと向かう歴史の流れ」 (1)同社の世論調査では、憲法改正に賛成が六割を超えている。(2)同社が一九九四年以来、憲法改正問題を提起してきたことは正しかった。(3)新憲法への、歴史の流れを逆流させることはできない。 産経「憲法記念日 『不磨の大典』に風穴を まず九条と改正条件の緩和」 (1)新たな憲法の姿が見えつつある。(2)しかし、新憲法が体現する国家像がない。(3)九条などの見直しと憲法改正要件の緩和という緊急なものに絞って段階的に改憲すべき。 日経「成熟した民主国家にふさわしい憲法に」 (1)同社の世論調査では憲法改正に賛成が54%を占めた。(2)衆院憲法調査会の多数意見は同社の提案と大筋一致する。 上毛「憲法記念日 改憲は国民の意思反映を」 (1)改憲の具体的手続きとしての「憲法改正国民投票法案」の内容が問題となる。(2)とくに憲法の条文ごとに賛否を問うのか、一括して賛否を問うのかが問題。(3)ぜひとも「逐条投票方式」を導入すべきだ。 以上のように、メディアが率先して「改憲」を進めようとしている立場から安易な「改憲」を行うべきでないとする立場までさまざまであるが、上毛新聞では国民の意思を正確に反映させるために条文ごとに投票することが必要であるということが指摘されている。これは極めて重要な指摘である。 また、改憲論議の根拠に「世論調査」の結果が引用されているが、今月三日のNHKテレビ「今、憲法にどう向きあうか」では、「憲法改正をする必要がある」は48%、九条については「改正」の「必要なし」が36%、「必要あり」が26%であった。 いま、私たちは改憲について「賛成・反対」のいずれのパーセントを高めていけばよいのだろうか。それには、私たち一人一人が子や孫の将来を見据えつつ「日本国憲法」を一条一条じっくり読み直すことが必要であろう。 (上毛新聞 2005年5月31日掲載) |