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◎家族で共同作業楽しむ 私は六年前、異業種の職員四人と共同で「一坪キッチンガーデン」に関する研究を行いました。県内では、市街地でも持ち家の世帯が比較的多いことが分かり、庭に一坪程度のスペースがあれば各家庭で簡単な野菜やハーブなどを栽培できることを実証し、多くの方に実行していただきたかったのです。 農村に住む子供でも、日常食べている野菜がどのように育って、どのように実るのか、いつが旬なのかが分からなくなってきているので、多くの方に「野菜を自分で育てる」体験をしていただきたいと思いました。また、両親が職業を持つ中で、塾通いや部活で忙しい子供たちとのスケジュール合わせが難しく、家族の中での話題が乏しく、コミュニケーションの機会が少なくなっていませんか。 そこで、野菜の種まき・苗植え、除草作業・防虫管理から収穫まで、家族の共同作業として楽しむとともに、何といっても取り立てをじかに味わっていただきたいのです。自分が手塩にかけて育てたものは格別においしいですし、体験を通して食べものを大切にする心が芽生えたり、ささやかな家族の協働活動の中から、コミュニケーションが生まれ、いい親子関係や食育にも役立つのではないでしょうか。 実証結果では、一坪でも計画的に栽培すれば、ナス、ミニトマト、ハツカダイコン、レタス、パセリ、ミツバ、ピーマン、ニラ、シソ、トウガラシ、イチゴ、コンニャクなど、十種類ほどの野菜やハーブを栽培することができました。タイプ別に五カ所で栽培実験してみると、コンクリート上でも栽培できることが分かりました。三段に積んだ間伐材で外枠を作り、その中に細目のネットを敷き、野菜用の土を三十センチ程度入れれば、年間、かなり多くのものがとれます。 器用な方は多様に応用できるし、生ごみや枯れ葉で堆たい肥ひを作れば、元気な土もできるし、経費が比較的安価で済みます。英国では各家にキッチンガーデンがありますが、皆さんのお宅でも空いているわずかなスペースを有効利用して、わが家のオリジナル菜園ができるはずです。 農村女性組織「県生活研究グループ連絡協議会」は、県内におよそ千五百人の会員がいますが、昨年より「食と農を育はぐくみ育てます」活動を重点として、保育園児と保護者、小中学生や高校生、消費者を対象に、農産物の栽培や加工調理、食文化の伝承に至るまで、幅広く講習会や交流会を開催し、食育を推進しています。もし、あなたの地域や学校で食農体験の要望があれば、最寄りの会員の方に相談してみてはいかがでしょうか。 私は多くの方に「育てる」体験をしていただきたいと思います。その気になれば、簡単にできる「畑仕事」ですし、パソコンなど心身ともに疲れる仕事や趣味が多くなってきた昨今、気分転換にちょっと野良仕事をしてみませんか。 (上毛新聞 2005年4月29日掲載) |