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◎早く見つけて楽に治す 大腸はお尻に近い直腸と、より上部の結腸に区分できます。この直腸と結腸では、同じ大腸でも発がんに関与する環境因子が異なります。直腸がんではアルコール過飲、がん家族歴陽性(血縁にがん患者がいる家系)が四倍ほどリスクを上げるとされ、結腸がんではこれらに加えて、紅茶や果物も二―三倍ほどリスクを上げるとされます。 このように、環境因子もがんの種類によって異なります。大まかにいうと、欧米食は大腸がん、肺がん、乳がん、肝がんのリスクを増大させ、反対に日本食は胃がん、子宮がんのリスクを増大させると考えられます。 最近、環境ホルモンという言葉がよく使われます。これは内分泌攪乱(かくらん)化学物質のことで、一九九七年三月に米国のコルボーン博士の『奪われし未来(our stolen future)』が出版されてから社会的関心を呼び注目されています。 PCB(ポリ塩化ビフェニール)、DDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)、ダイオキシン、ビスフエノールA(学校給食容器に使われているポリカーボネイトから発生)など約七十種類の物質が同定されています。これらはホルモンに似た作用だけでなく、細胞や遺伝子にも影響を与えるとされます。 喫煙が肺がん、胃がん、その他のがんを、また過剰な脂肪摂取が膵(すい)がん、大腸がん、乳がん、子宮体がんなどを誘発していることが疫学的に示されています。これらの危険因子を探し出して予防(治療)しようという考え方があります。一方、人ががん化しない因子(defence mechanism)を解明することも重要です。 早期発見・治療を目的とした集団検診や人間ドックなどを「二次予防」といいます。現時点で、がんを治す確実な方法は早期発見、早期治療(二次予防)です。「検診を受けるとがんになる」がごときのセンセーショナルな意見を発表された人もいましたが、全く根拠のない主張といえます。転移が始まってしまうと、治療は非常に難しくなります。まだ転移していないうちにがんを取ってしまえば、九割近くが治ります。 がんは〇・五ミリより大きくなると、独自に血管系を引いてくるようになり、転移の危険性が高まります。ところが、現在の技術(X線や内視鏡などの画像診断)で見つけられるがんの大きさは、三―五ミリくらいが限界です。自覚症状が出るのは、部位によって異なりますが、二センチくらいからでしょうか。 がん検診は、一度受けて異常がなかったからといって、その後受けないというのではなく、毎年必ず受けなければなりません。これを「逐年検診」といいます。がんも早期に発見できれば、切らずに治すこともできますし(内視鏡治療)、手術が必要であっても楽な方法で治せます(内視鏡下手術)。これは、がんを「よりよく治す」という点で重要なことです。 (上毛新聞 2005年4月20日掲載) |