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フラワービレッジ倉渕生産組合理事長 近藤 龍良さん(倉渕村水沼)

【略歴】愛知県出身。商社勤務の後、86年に家族で倉渕村に移住し農場を開設。フラワービレッジ倉渕生産組合理事長、NPO法人・日本園芸福祉普及協会専務理事。

都市緑化フェア


◎楽しく意義ある開催を

 一九九〇(平成二)年に大阪で開かれた国際花博を契機に、その後毎年、各県持ち回りで展開されている「都市緑化フェア」が二〇〇八(平成二十)年にいよいよ本県で開催されることになり、県をはじめ関係者ではその準備が始まっているようです。

 「緑の国体」ともいわれるこの催しは、これまでの開催県も大変熱心に取り組み、大勢の参加者でにぎわってきました。特に昨年の浜名湖花博と呼ばれた静岡のフェアは国際博ということもあって五百四十五万人の入場者があったのをはじめ、各地とも百万人を超す入場者で盛況なイベントになっています。

 また、大阪花博によってわが国のガーデニングブームが始まったといわれるほど、このフェアが都市や国土の緑化の普及に果たす役割は大きなものになっています。開催県により、花や緑による観光や地域おこし、庭づくり、生活の提案などとテーマを設定して、フェアの内容に特色をつけています。

 まだ一般的にガーデニングが浸透していなかった当初のころのフェアでは「わぁ! きれい!」の感嘆詞的なフェアにとどまっていたものが、ガーデニングの普及による思想や技術、器具類の進歩により、さらにレベルアップされ、数十年遅れているといわれていたヨーロッパなどのフラワーショーに比べて遜そんしょく色のないものになってきています。

 そもそもテーマイベントは、その目的達成のために出発点の契機であるべきものが、ときにはお祭り騒ぎだけで終わってしまっているものがよく見受けられます。もちろん話題性があったり、目を引くものや楽しませることは必要ですが、このフェアはこれを契機により緑豊かな群馬県をめざすための思想、指針や技術、知識が学べるイベントであってほしいと願っています。本県で行われる都市緑化フェアのサブタイトルについては、検討中のようですが、たくさん人が集まったことだけが自慢になったり、一過性のイベントに終わることのないテーマの設定を期待しているところです。

 「花や緑を育てて幸せになろう」という園芸福祉は都市緑化フェアの趣意とも同意義で、今までの開催県とも協働した活動を行っています。昨年は花博開催中の浜松市で「第四回園芸福祉全国大会」が行われ、全国から千五百人余の参加者でにぎわい、八分科会に分かれて真剣な討議が繰り広げられました。開催跡地は「園芸福祉公園」として保存継続するための勉強会も始まっています。また、本年は十月に福岡市の緑化フェアと併催されることになっています。

 県内をはじめ全国各地で日本園芸福祉普及協会認定の園芸福祉士が活躍していますし、ぐんま花みどり交流ネットワークなどボランティアグループがスタートしています。県民一丸となった意義ある楽しい緑化フェアが開催できることを期待しています。

(上毛新聞 2005年3月22日掲載)