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◎ビジネスとしても有望 いま、農業の経営環境は大変厳しいものになっています。まず、3Kといわれる労働条件の厳しさなどによる後継者難などもありますが、特に経済面となると、依然厳しさは解消されるどころか、ますます深刻になってきています。これは、食生活の変化も見落とせませんが、何といっても海外からの輸入による価格破壊などの影響が大きいことは周知のとおりです。 その中にあっても、研究熱心な先進農家の方が「差別化」や「付加価値」等による成功例が新聞紙上などで見かけられますが、全体からいえばまだ少数例のようです。しかし、全体論でなく身近なところから、その努力を積み重ねることが、この事態の解決には重要なことだと思われます。 ただ、成功例を参考にすることはあっても、そのまま、まねをすればいいものではありません。それらには明確な発想理念に裏付けられ、しっかりしたマーケティング手法に基づいているものが多くあり、ただ表面だけを模倣するものには成功する確率は乏しいものと考えられます。 農業にはいろいろな側面効果があります。単に食料の供給の役目だけにとどまらず、福祉や健康、そして教育、環境面での機能など多面にわたる効果を持ち合わせていることは知られていますが、それらが経済的な農業経営とどう結びつくのかが、あまり知らされていません。ニーズのあるところにはビジネスありという積極的な姿勢や考え方で、マーケティングと取り組む必要があります。 グリーン・ツーリズムという活動が活発に行われています。これも農業、農村を単に生産基地としてではなく、都市住民の癒やし、憩いの場として提供する意味をもっています。大分県安心院町や長野県飯田市などに見られるような農家民宿やワーキングホリデー(休日を活用した農業)などが、ビジネス起業としても盛んになってきています。特に地産地消や食育の関心などが高まっている現在、それらを含めた広範囲な意味での福祉の活用の場として、農業や農村は大きな効果を持ち合わせていますし、ビジネスチャンスとしても期待されるものです。 そのためには単なる場の提供だけではなく、自然の中での農耕体験や学習による生きがいづくり、健康増進の効果が実証されるようなプログラムの設定や研究が必要になってきます。例えば、福祉施設やデイサービス・グループホームなどとの連携や協働などが考えられますし、福祉的効果を全面に打ち出した市民農園の運営や指導、学童保育や学習塾など教育面での農園活用等、いろいろな対象に考えられます。 花や野菜作りを通じて人々が幸せになるという園芸福祉の理念を生かした新しい農業経営形態やシステムの確立は、これからの有望なビジネスとしてもとらえることができると思われます。 (上毛新聞 2005年1月22日掲載) |