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◎悪質な事業者の排除を 厚生労働省は、昨年十一月から十二月にかけて、いわゆる健康食品に係る規制の在り方の実施につき意見募集をしました。 健康食品は、新聞報道されたものだけでも、死亡事故、重篤な肝機能障害などの健康被害を発生させた例が数多くあり、その上、訪問販売や通信販売などを通じて、高額な商品を買わせる消費者被害を引き起こした例などもあります。 厚労省が緊急に行わなければならないのは、こうした違法な健康食品の取り締まりだと思いますが、提案されているのは規制緩和なのです。 現在公的に認められている健康食品は、「特定保健用食品(通称・トクホ)」と「栄養機能食品」しかありません。トクホは、一定の機能(整腸作用や血圧調整作用など)がある食品を個別に審査して、トクホマークの許可を与えるものです。 栄養機能食品はビタミン、ミネラルなどにつき、一定の規格基準を設けて、これに合致する場合、栄養素の働きを表示できるという制度で、「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です」などと表示できます。しかし、実際には、商品名の後に栄養機能食品と記載され、栄養素の働きは裏面で、あたかもその商品全部に何か栄養の機能があるかのように見えるものもあります。 今回の提案は、トクホに条件付きトクホや規格基準型トクホなどの制度を導入しようとするものです。条件付きトクホは、「根拠は必ずしも確立されていませんが、△△に適していることが示唆されている食品です」などと表示でき、しかもトクホマークがつけられます。規格基準型トクホというのは、個別の審査は不要なのに、同じトクホマークをつけられるというものです。 他に食生活のバランスが大切と表示させるとか、乱用されている栄養機能食品の表示を厳しくし、栄養機能食品(ビタミンC)などと表示させるなどの、賛成できる提案もあります。 しかし、薬か食品か分からないような○○エキスなどに、何となく身体に良さそうなネーミングをつけて高く売り、健康被害を起こしたとしても因果関係を証明できず、薬と違って救済制度があるわけでもないので被害者は救われないという問題があります。こうしたいかがわしい健康食品に安易に飛びつく消費者も反省すべきかもしれませんが、故意に誤解を招く売り方をする方がもっと悪いのです。 食の安全・監視市民委員会は、これまで多くの問題広告や表示に対し改善の申し入れをし、一定の成果を上げてきました。しかし次々に現れる違法・不当な広告・表示を追いかけるのは、まるでイタチごっこです。監視に当たっている都道府県でも、ひどい表示があまりに多く、実際上放置されていると言っています。 厚労省は規制緩和をするのではなく、薬事法と食品衛生法・健康増進法の関係を、もっと消費者に分かるように整理し、その狭間(はざま)でもうけようとする悪質な事業者を排除することにこそ、積極的に取り組んでほしいと思います。 (上毛新聞 2005年1月16日掲載) |