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◎「生きる力」はぐくむ 子供たちの冒険キャンプや自然体験活動にかかわるようになってから二十四年目を迎えた。キャンプなどの自然体験活動に参加する子供たちは、昔に比べて言いようのないほど多様化し、さまざまな問題を抱えて懸命に生きている様子がよく分かるようになった。まさに子供たちは、今の社会の縮図であるようにも思える。 自然体験活動が、子供たちに与える影響は、身体面よりむしろ、精神面(心)に与えるものの方が大きく、文部科学省でもさまざまな研究や調査を通して、自然体験活動が子供たちの精神面の成長に極めて大きな効果があるとの報告書を出し、子供たちに自然体験の機会を提供するさまざまな施策を実施している。 こうした国や都道府県、市町村が行う自然体験事業とは一線を画して、民間の野外教育団体や環境教育団体、NPO(民間非営利団体)などが行う自然体験事業も数多くある。「アドベンチャー集団Do!」もその一つで、年間を通し、さまざまな自然体験事業や環境学習事業を行い、主催、受託合わせて年間三千五百人ほどの参加がある。特に、主催事業の年間参加者千三百人のうち、約六割はリピーターであり、自然体験活動に参加した子供たちが、繰り返し体験活動を求めている様子がうかがえる。 自然体験活動が子供たちに与える効果は数多くあるが、「アドベンチャー集団Do!」が主催する事業においては、おおむね次のような子供たちの変容が確認されている。 (1)価値観の転換や価値観の変容が起こり、不登校の克服にもつながる例が多くある(2)感性が非常に豊かになり、子供たちの表現活動に大きな変化が表れる(3)五感が鋭くなり、小さな自然の変化に気付いたり、雲の流れや風の音、虫や鳥の声など、今まで気付かなかった自然のありさまを、心と身体全体で感じることができるようになる(4)野生感覚が目覚め、人間としての根本的本能が活発化してくる。また、自然の中で過ごすことが、心と身体を癒やしてくれることを本能的に知るようになる(5)優しさ、思いやり、やる気、自主性、勇気、正義感、判断力、問題解決能力など、子供たちの「心」の力が大きく成長し、顔の表情や目の輝きにも変化が現れる。 以上のような変化は、参加した自然体験プログラムに、非日常性が色濃ければ濃いほど、冒険的な要素が多ければ多いほど、また、ノンプログラムであったり、参加期間が長期間であればあるほど強く表れるという共通した特性がある。 この時代にあって、自然体験活動は、まさに子供たちの「生きる力」をはぐくむ最も重要なアイテムであり、学校教育と対をなす教育活動(野外教育)なのである。こうしたことも踏まえて、本県が新たな教育行政を展開してゆくことを強く望むものである。 (上毛新聞 2005年1月3日掲載) |