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◎自らの可能性を広げる 今から六年半ほど前、長男出産後一年の育児休暇を終え、会社に復帰し、育児と仕事で慌ただしい毎日を送っていたある日、電話が鳴りました。以前参加した研修で、お世話になった会社のスタッフの方からでした。「コーチング事業を始めました。小林さんが自分のやりたいことに向けて話をして、小林さんらしい人生を送っていくお手伝いをさせてください」とのお誘いの電話でした。それが、私とコーチングとの最初の出合いでした。 プロのスポーツ選手には、選手が最大限の力を発揮するために、コーチが付いています。それと同じように、私が自分の持っている才能を最大限発揮して、楽しく充実した人生を送るために、コーチが私の話を聞いてくれるとのことでした。詳しくは分からないながらも、「私の話を聞いてくれる」ということに、私は漠然とした価値を感じて、コーチングをスタートすることにしました。 コーチングは週に一回、電話でコーチと三十分会話を交わすという形で行いました。コーチから、次のような言葉を投げかけられ、コーチングがスタートします。「何をテーマに話しますか?」「整理をしたいことは何ですか?」「何について話せれば、今日は満足しますか?」。電話でのやりとりですが、コーチはまるで私に寄り添っているかのように、聞いてくれます。 今日の仕事の進め方から、将来のことまで、いろいろなことをコーチングのテーマにして、話してきました。コーチは、コーチの考え方を押し付けることなく、私が本当はどうしていきたいのか、ということを丁寧に掘り下げて聞いてくれます。コーチは「その人の答えは、その人の中にある」という基本スタンスを持っています。私の人生の、私の中にしかない答えを私が見つけられるように質問を投げかけ、行動へと促してくれます。 初めて自分にコーチを付けて以来、私にはずっとコーチが付いています。以前の私は、「結婚したのだから」「子供がいるのだから」「三十代なのだから」「女性なのだから」などと、自分で自分の可能性を狭めて、いろいろなことをあきらめていたように思います。コーチのサポートを受けてきて、自分の中にたくさんの可能性があることを実感できるようになりました。私が今のように独立して仕事をしているということは、コーチを付けての成果の一つです。これからも自分の可能性は広がっていくのだと思うと、楽しみです。 私にとってのコーチは、私に安心感と勇気、決断力と行動力を与えてくれました。 そして、コーチとしての私は、安心感を伝え、その人の自然な流れをサポートできる存在でありたいと思っています。コーチングを通して、相手の方の生き生きと輝いている姿を見ることが、今の私の大きな喜びになっています。 (上毛新聞 2004年12月19日掲載) |