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◎地域との懸け橋に 学校給食に地元農産物や県内産農産物を取り入れることによって、子供たちが地域の豊かな自然の恵みに触れ、自分たちの生活と地域とのかかわりを考えるきっかけとなり、心身ともに豊かな子供たちを育てることを趣旨として、県教育委員会が平成十三年に十月二十四日を「学校給食ぐんまの日」と制定しました。 県内の市町村を中心に、学校、学校給食共同調理場で地元農産物や県内産農産物を取り入れた献立を作り、子供たちにふるさと群馬の素晴らしさを伝えるため、さまざまな取り組みを行っています。 十月のある日の献立は、Y農園から届いた取りたてのチンゲン菜を使った、チンゲン菜のクリーム煮。この日はほかにも高崎産のシイタケ、カブ、キャベツ、県内産の鶏肉、キノコ、県内産の小麦百パーセントで作ったピストレ(「げんこつ」の意味をもつ)というパンを使いました。教室を訪問してみると、いつもと変わりなく楽しく食べている様子でした。 高崎市では九年前から、学校給食に地場農産物を積極的に取り入れています。その量は年間に使用する野菜の16%(平成十四年度)を占めています。主な野菜はタマネギ、ジャガイモ、キャベツ、ニンジン等二十九品目、また、近年では地場農産物を使用した調味料も多くの方々の協力で開発されました。地場農産物のよいところは生産者の顔が見えるところにあります。信頼関係が生まれ、安心して給食に使うことができます。 幸いにも私の学校の校区にはY農園があり、見学に行く学年があります。農園では目で見て、手で触れて学習します。そして、その野菜を給食の食材として使用しています。そんなときは、その野菜がとても身近なものになり、給食時間もその話題で盛り上がります。教科書は地域にあり、食に関する教材があふれています。地域の自然の恵みから多くのことを学ぶことができます。 この日、学校では給食委員会の児童がビデオ放送を行い、群馬でとれる食材を紹介し、献立の中のどれがそれなのかを知らせ、郷土の恵みを残さず食べよう、と呼びかけました。昼休みに子供たちに声をかけてみると「こんなにたくさん群馬でとれるものがあって、驚いた」「ぐんまの野菜はおいしかった」などと、求めていた答えが返ってきました。 給食を通して群馬のことを少しでも理解してくれ、今日の給食のねらいが伝えられてうれしく思いました。昔は田畑も多く、道草をしながらいろいろ学ぶことができましたが、今では教える時代。これからも学校給食が地域と子供たちの懸け橋となればと考えています。 (上毛新聞 2004年12月10日掲載) |