視点 オピニオン21 |
■raijinトップ ■上毛新聞ニュース |
|
|
◎教師の力を地域にも 学校の週五日制が完全実施され、三年が経過しようとしています。小・中学生はどのように変わったのでしょうか。 この間、学校現場は土曜日の子供たちの活動にはほとんど無関心で、専ら学校教育のシステム変更と実施に取り組んでいました。子供は「家庭に帰そう」「家庭教育の分野は家庭で」と考えてきたのです。 しかし、子供たちが家庭、地域で学んでほしい教育目標を達成するには、いまだ十分環境が整備されているとは言えません(十年間の準備期間はあったのですが)。そのため、教育行政は「子育て○○」と冠する事業を矢継ぎ早に実施し、フォローに取り組んでいます。が、保護者や地域は、地域での子育てプログラム実施の重圧感は軽減されていない、と感じるのが実態です。 重圧感は当然のこととして、教員への風当たりを強くしています。やり繰りして子供たちの活動をサポートしているのですが、学校は一向に無関心なのです。私は、教育立国日本が「二十一世紀をたくましく生き抜ける国民」育成にと貴重な授業時間を削減して作った土曜休日と子供の実態を比較すると、はたして問題はないのだろうか、と思うのです。加えて、学力低下論は、この教育改革を迷走させています。 そこで、教育改革推進のこれらの課題を解決する一方法として、「子育て教育特区」の設立を提言したいのです。まず、子供たちが自主的に学び、体験する活動日であるためには、子供たちの実態を熟知している小・中・高校の教師が、その専門性を生かして指導、サポートに取り組めるシステムが必要だと考えます。 次に、この「学びの日」を運営する組織をつくり、地域と教師共同の活動基盤にします。組織は従来のPTA活動ではなく、P(父母)T(教師)C(ソサエティー=社会)を「子育て」という共通項でくくり、NPO法人化も視野に入れた地域子育てネットワークとして、学校教育もこの一部と考えてみたいのです。既存のスポーツクラブやボーイスカウト、金管クラブ、エコクラブ、読み聞かせ、親父の会なども巻き込み、文化スポーツ総合の組織として子供たちの学びの活動を支えます。 第三には、互換性を高める工夫が必要です。子供たちの学ぶ意欲を高めるには、効果的な評価が欠かせません。学校外での活動の評価は、学校内評価(例えば通知表など)で学校の活動評価を校外での活動に反映するなどの工夫をすることで、子供たちの学ぶ意欲を高めることが可能と考えます。すなわち、互換性を高めることが大切なのです。 このように、教師、保護者、地域の力を終結して「学びや体験」を確保して個性を伸ばし、意欲や関心を高め、課題を積極的に解決する力をつけることは、教育改革の目的とするところです。そのために、教師の持つ教育力を地域の教育力に結集する試みがなされる必要が大いにあるのではないか、と考えるのです。 (上毛新聞 2004年12月7日掲載) |