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◎夢を持って実践活動を 第二十一期県女性国外交流団員として訪中した私は、環境問題がテーマでした。事前に参加した地球環境セミナーや書物から地球の本当の姿を知りました。森林破壊、砂漠化、酸性雨、食糧危機など思っていたよりはるかに地球の傷は深刻で、カルチャーショックは強烈なものでした。世界の環境問題について知っているつもりでも、実は深くは分かっていなかったのです。 訪問地、中国の環境悪化は人口の急増と貧困が原因で、都市・農村・森林間の共生関係が崩れてしまった結果でした。これらの環境破壊は、地球上に住む六十三億の人類の存亡に深くかかわることであり、私たちにも身近な問題なのです。 日本でもフロンガスでオゾン層が破壊され、子供たちが浴びる有害紫外線の影響が心配です。しかし、学校での具体的対策はいまだに講じられておりません。地球の温暖化は異常気象を起こし、南極の氷を溶かし海面上昇や津波で東京湾が埼玉湾になると予想されていますが、日本での温室効果ガスの排出量は今年も増えています。 食料自給率の低い日本の大地は、さまざまな理由で放棄地やコンクリートになっていきます。燃焼で作られるダイオキシンなどの有害物質が人体を汚染し、人々の幸福を奪っているのに産業経済優先の社会です。『世界がもし100人の村だったら』(マガジンハウス刊)によると、地球の全エネルギーのうち二十人が80%を使い、八十人が20%を分け合っているそうです。飽食暖衣でもそれを使う先進国は、地球環境に大きな影響を及ぼしているのに見合う最低限の地球環境保全への責任を果たしていません。 では一体、私たちにできることは何でしょうか。私たちは地球の事実を知り、正確な知識を得て、解決のために夢を持って楽しく実践活動をすることです。産業界では企業の在り方が問われ、持続可能な地球環境を目指した製品開発と、科学知識のもと産官学連携の強化がより重要です。行政レベルでは環境教育の充実、廃棄物の排出削減と再利用を促進させる新規施策を真剣かつ積極的に講じる必要があります。個人では大量消費、大量廃棄の生活習慣を変え、グリーンコンシューマーになることです。 つまり、私たちの言動は山を動かします。「学校給食牛乳(学乳)になぜリターナブル容器を使わないのか」「バージンパルプを使った良質な学乳紙パックが、リサイクルされずに焼却されている事実はおかしい」「工業団地で毎日異臭がするのに、だれも騒がないのはなぜ」…。 今月二十五日には、牛乳パック業界、行政と消費者の情報交換と相互理解の場である「牛乳パックリサイクル促進地域会議in群馬」が県総合教育センター(伊勢崎市)で開催されます。この機会は、先進地の岐阜県や長野県のように、ごみの減量、環境教育、障害者支援を目的とした牛乳パックのリサイクルシステムの構築への第一歩となることが期待できます。私たちの思いやりの輪と勇気ある行動を広げていきましょう。 (上毛新聞 2004年10月13日掲載) |