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◎自発的に楽しく実践を 最近、特に思うのが、子供たちが屋外の広場や路地で遊ぶ姿を見かけなくなったことです。現在の生活環境は、私たちの子供時代とは比べようもありませんが、夕日が沈んでも、ガキ大将を中心に戸外で遊び回ったことが懐かしく思い出されます。 本来、子供たちのスポーツは身体運動を伴った遊びである、といわれています。その遊びの中から、協調性や忍耐力などを自然に身に付けていくもので、スポーツへのアプローチも当然のように多種多様な遊びの中から学んだものです。 核家族化や少子化社会の現在、各家庭において大切に養育された子供はテレビゲームなど室内で過ごすことが中心で、自ら汗を流すような遊びには、縁遠くなっているようで、少し寂しい気がします。いい汗、心地よい汗を流すには、実際に経験してみて実感するもので、テレビゲームなどの疑似体験からは体得することはできないでしょう。 先ごろ発表された文部科学省の体力および運動能力の調査結果では、全国平均値が著しく低下しており、その低下傾向に歯止めがかからない状況にあるそうです。文化的な生活環境が整うほど人間には弱い部分が増えてしまい、その改善にはスポーツ・身体運動の習慣化が大事です。運動の必要性は理解していながら、持続するのは難しく、いかに運動の習慣化を図るかが重要な課題です。 しかし、運動習慣を身に付けるには成人後では大変難しく、その反面、幼児期から身体運動を経験してきた子供たちは、成人後も運動をいとわず、精神的にもアクティブな傾向が出ています。そのようなことから、幼児期からの身体活動が非常に大切なものになります。 ここで、設立以来、四十数年間、子供たちのスポーツ交流を推進してきた県スポーツ少年団(以下「スポ少」)について紹介します。現在、千四十六単位団の二万四千六百六十九団員が登録し、有資格指導者の下で活動しています。「スポ少」は財団法人・日本体育協会がスポーツを通じて青少年を健全に育てようという目的で設立した公益法人です。従って「スポ少」への加入(登録)は、地域(市区町村体協・都道府県体協)の公的活動への参画であり、私的団体とは基本的に異なっています。 そのため、活動内容は地域に根差し、地域から認められ、すべての少年・少女たちに門戸が開かれているものでなければなりません。しかも、スポーツによる子供たちの健全育成が活動の究極のねらいですから、単に記録の向上や試合の勝利だけを目指すものではないのです。指導者や保護者が「スポ少」の公的団体としての位置付け、活動の在り方を確認して指導にあたることが最も大切です。 「スポ少」活動を通して「運動は自発的に楽しく実践するもの」と理解させ、次の世代を担う子供たちがスポーツ・身体活動の生活習慣化を体得して、明るく健康でたくましく成長できる環境を整えてやることが重要です。 (上毛新聞 2004年8月19日掲載) |