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◎命の大切さ伝えよう 先月十七日、「ぐんま昆虫の森」を見学させていただきました。本年度の第二回里山文化塾文化行事にお招きをいただき、私たち繭かき唄保存会の会員一同、よろこんで参加いたしました。当日は大勢のボランティアの方たちが、雑木林の下刈りをなさっておられました。今はあまり見られなくなった茅(かや)ぶきの赤城型民家に着き、まずは、その建物に目を見張りました。中に入ると、懐かしい広い土間や囲炉裏(いろり)、自在かぎに吊(つ)られた鉄びんなどに、幼かったころの村の風景がよみがえりました。 広い土間では、ボランティアのご婦人たちが昼食の用意をなさっておられ、昆虫の森で栽培されたトウモロコシ、カボチャなど採れたての野菜をおいしく煮付けてくださり、懐かしい「すいとん」も作ってくださいました。デザートには無農薬で栽培されたスイカが冷やしてあり、自然の恵みを満喫させていただきました。 今年は空梅雨で、例年になく高温続きの毎日とあって、下刈りのボランティアの方々は大変だったと思います。民家内ではお蚕を飼っていて、皆懐かしく見させていただきました。庭にござを敷き、昆虫の森で飼育した春蚕のまぶし付きの繭と、実物の桑の葉を使って「繭かき唄」と「桑とり唄」を披露させていただきました。繭もまぶし付きのまま乾燥させて用意され、桑も当日セットしてくださるなど、お心遣いをいただき感謝しております。 昆虫の森を案内していただきましたが、あらゆる所に自然への配慮がなされていました。まだ整備途中とのことでしたが、完成すれば群馬の素晴らしい財産になることでしょう。昆虫の森は、これからの時代を担う子供たちに昆虫に直接触れてもらい、生命の大切さや自然への理解を深めてもらうことを目的にしています。そうした心を育てるために、生き物との触れ合いの場の整備が大きな政策課題になっているとのことでした。 雑木林の中には、落ち葉を集めてカブトムシの幼虫のすみかがありました。何カ所も作られており、数百匹のカブトムシが生まれるといいます。ほかにもいろいろな昆虫が共生しておりました。里山の自然を生かし、雑木林の育成や、そこにすむ昆虫のためには下刈りが大切で、これらはみな、ボランティアの人たちが協力してくださっておられるそうです。 ホタルのすめる堀や、メダカ、トンボなどの育つ池などもあり、温室付きの「昆虫観察館」は完成すれば日本一の建物になるようです。大きなガラス張りの建物の中には、沖縄の西表島から本土にない貴重な植物や動物、昆虫などが移され、展示される予定だとかで、群馬の新名所になることでしょう。 これからの子供たちには、このような施設を通して命の大切さを学び、生きることの大切さに思いやりと優しい心をはぐくんでもらえたらと、しみじみ思いました。今世間では、以前では思いもよらなかった悲惨な事件が低年齢化してきています。私たち大人は、心して子供たちに命の大切さを伝えていかなければ、と痛切に感じております。 (上毛新聞 2004年8月15日掲載) |