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NPO法人「お互いさまネットワーク」代表 恩田 初男さん(館林市北成島町)

【略歴】村田簿記学校卒。税務会計事務所、音楽出版社に勤務。2000年からNPO法人「お互いさまネットワーク」代表。痴呆の人のグループホーム、有償ボランティア事業に携わる。

NPO法人



◎社会的な使命忘れずに

 今年五月に館林の七つのNPO法人で「館林市NPO法人連絡協議会」を設立しました。設立の目的は地域のNPO法人が連携・協動して、地域の社会貢献を果たすことです。この機に、NPO法人の存在意義を考えてみたいと思います。

 特定非営利活動促進法(NPO法)は平成十年三月に成立しました。この法律によって、今まで法人格を取得することが難しかったボランティア団体や市民活動団体が法人格を取得できるようになりました。この法律ができた背景には、平成七年一月の阪神・淡路大震災のときに、多くのボランティア団体や市民が全国から被災地に赴き、さまざまな救援活動を行ったことが起因となり、この活動の重要性と必要性が住民や政治・行政にも認識されたことによります。

 では、この法律の目的は何かというと、NPO法第一条に「この法律は、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により、ボランティア活動をはじめとする市民が行う自主な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与することを目的とする」とあります。

 キーワードを続けると、「市民が行う自由な社会貢献活動」を「促進」し「公益の増進に寄与する」ことを目的とする、となります。すなわち、市民による公益活動と考えてよいでしょう。この活動を推進させるためにNPO法があるのです。

 NPO法で設立されるNPO法人の活動については、同法第二条別表で定められている「保険、医療または福祉の増進を図る活動」から社会教育、まちづくり、学術文化芸術、環境、災害救援など多岐にわたり、十七項目があります。かつ、これらの活動が不特定多数の利益の増進に寄与する必要があると規定されています。

 このようにNPO法人は、現代社会が直面するさまざまな問題や課題に市民として取り組み、公共の利益を推進し、豊かで安心して暮らせる社会構築のため、重要な役割が課せられています。

 県内でも現在、百を超える法人があり、各分野で活動しています。平成十年十二月からこの法律が施行されましたので、この五年半の間に毎年二十以上のNPO法人が県内で誕生していることになります。

 しかし、NPO法の目的にそぐわないNPO法人があるのも事実です。営利法人よりNPO法人が社会的に受けがよいからとか、商品の販売ルート確保のためのNPO法人であったりする場合もあります。本来「市民による公益活動」を取り組むのがNPO法人の本質であるべきです。各NPO法人は、社会的な使命を常に忘れずに活動することが大切です。

 行政や監督官庁は、市民の柔軟な社会貢献活動をより理解・推進するとともに、活動実績がNPO法に照らし合わせて、そぐわない場合には、取り消しや組織変更の指導を強化する必要がある、と考えられます。

(上毛新聞 2004年8月14日掲載)