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◎いま大学野球が面白い いま、大学野球が面白い。特に本県出身選手の活躍を見るのが楽しみです。 東京六大学野球春季リーグ戦は明大が早大の五連覇を阻み、十二季ぶり三十一度目の優勝を果たしたが、その原動力となったのは、やはり今秋のドラフトの目玉である一場靖弘投手(四年・桐生一高)だった。最速154キロの右腕は天性ともいえる肩の強さに加え、けた外れのスタミナの持ち主である。十三日の全日本大学野球では、広島経大を相手に二十八年ぶり、四人目の完全試合を達成した。 先月八日の立大1回戦から十七日の早大3回戦まで、優勝争いのサバイバル戦となった六試合すべてに登板(完投3)したが、調子そのものは良いとは言えなかった。 開幕の東大戦こそ連勝スタートだったが、慶大、立大、早大と、すべて1回戦をエースで落とすという厳しい戦いが続いた。 立大―明大1回戦、立大の小林太志投手(三年・富岡高)との“上州対決”を観戦したが、一場投手はこのときも、立大打線から毎回の三振17を奪いながら変化球の高めを打たれ、2―5で負けている。 しかし、一場投手は2回戦を後半リリーフして勝ち、翌日の3回戦には先発したエースの三連投に奮起した打線の援護もあり、完投して勝った。 エースのスタミナは常に全開で、三連投は当たり前、どんな場面でも、また、どんなに調子が悪いときでも、チームの勝利のためと、ひたすら投げ続けた。 優勝するようなチームは「絶対に負けられない」と戦っているエースの姿に、他の選手たちが共鳴したとき、お互いの信頼関係が計り知れない力を引き出す。学生野球の神髄は、まさにここにあります。 リーグ戦の厳しい戦いを勝ち抜いた一場投手はまた一つ、精神的に大きく成長を遂げたことを確信しました。 立大―明大1回戦で一場投手に投げ勝った立大の小林投手は、勝てば優勝に王手の3回戦で経験不足から、二回を持たず負け投手になったのは残念だった。 捲けんど土重来を期して、この夏は意欲的に走り込んで、チームの信頼を勝ち取り、秋季リーグで再び六大学の先輩エースに挑戦する日を楽しみにしたい。というのは、伝統ある東京六大学で本県出身のエース対決は、私の記憶にないからです。 高校球児の目標になるためにも、二人の“上州対決”で学生野球の“メッカ”神宮球場を大いに盛り上げてほしい(私だけの独り善がりかもしれないが…)。 先月十八日の東都大学一部リーグ。東洋大が駒大に5―0で勝った試合は、3番上岡正慎選手(三年・太田商)が3安打2打点、4番大広翔治選手(四年・桐生一高)が2安打3打点と二人で全打点を挙げ、永井怜投手(二年・農大二高)が完封した。まさに、本県出身の三人の活躍で勝利したのである。そして、3回戦もこの三人の活躍で勝ち点を挙げた。 本県出身選手の活躍をこれからも注目し、大いに大学野球を楽しみたい。さて、次はいよいよ夏の高校野球です。“熱いドラマ”を期待しましょう。 (上毛新聞 2004年6月16日掲載) |