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◎赤城西ろくは格好の地 昭和三十年代の本県の人口は〈上毛かるた〉で読まれていたように「力あわせる百六十万」でしたが、現在は二百万人を突破しています。少子高齢化の時代とはいえ、経済不況で首都圏からユーターンが増加するなど、県人口はわずかながら増えています。 このような状況下、県内の中山間地域や山間地域では、急速に少子高齢化の波が押し寄せています。何年もしないうちに、各自治体の高齢化率は25%(四人に一人が六十五歳以上)台となり、今後十年以内に一般会計予算に匹敵する年金が支給されるようになります。さらに、高齢化に伴う医療費の増大など、多くの課題を抱えています。各自治体では、知恵を出し合って未来に向けた施策に賢明です。 新聞紙上で毎日、合併に向けての取り組みを目にするように、各自治体ではかけがえのない地域を未来の子供たちに受け継ぐため、合併論議を展開しています。合併により、自治体運営は大きく様変わりし、行政主導、行政依存の時代は終わるのではないでしょうか。これからは住民個々が意識改革を行い、住民主導の自治が執り行われなければなりません。子供たちから笑顔と歓声が聞こえる地域をつくりたいものです。 筑波研究学園都市と八王子市を、ちょっと思い浮かべてみてください。 筑波学園都市は昭和三十八年、国の施策として、国の研究機関と大学を中核とした高水準の研究・教育を行う拠点を形成する目的で建設され、科学技術の振興と高等教育の充実に寄与されています。また、八王子市は江戸時代、甲州街道の宿場町、織物の町として栄えました。都心から四十キロ圏に位置し、高尾山など豊かな自然に恵まれ、多摩地域の中心として二十一の大学・短大が集まり、十一万人の学生を擁する学園都市です。 大学の周辺には企業が集まり、人が集まり、地域に活気が生まれます。さらに、大学と企業の共同研究プロジェクトが始まります。 そこで、本県版「学園都市構想」の夢を持ってはいかがでしょう。「裾すそ野のは長し赤城山」と上毛かるたに詠まれた赤城山は全国的にも有名で、特に西ろく台地は自然に恵まれています。また、数多くの遺跡に見られるように、古代から人々が居住して豊かな地方文化をはぐくんできました。この地に、高水準の研究・教育を行う学園都市を形成してみたらどうでしょう。 都市には駅が必要です。新前橋駅から前橋市、赤城山西ろく台地を通り、沼田台地を経て清水トンネルへ。見晴らしが良く、遠くに富士山を眺め、眼下に利根川が流れる地、赤城西ろく台地は格好の地と思います。 高度経済成長期とは違い、現在では笑い話になるかもしれませんが、ことによると数十年後には鉄道が敷かれ、大学が、企業が集まり、一大学園都市を形成。科学技術の振興と高等教育が行われ、さまざまな情報や発明がこの地から発信されているかもしれません。 (上毛新聞 2004年6月9日掲載) |