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◎環境改善へ善意が結集 本県では本年度に「人にやさしい福祉のまちづくり条例」が施行され、その第一号として伊勢崎市の西部公園が認定されました。伊勢崎市民病院の北に位置する約四・三ヘクタールのこの公園は、車椅い子すからでも植栽された花木が身近に感じられるよう配慮され、花名札には点字も記載されるなど、人に優しいユニバーサルデザインの公園です。その中央部に二十三区画のコミュニティーガーデンが誕生しました。 初年度は主に障害者団体を中心とした花の好きな十八の市民団体が植栽管理をします。好きな花を好きな時に好きなように植えられ、楽しみながら作業ができるのが魅力です。コミュニティーガーデンとは、みんなで作り上げていく共同の庭を意味しますが、粕川流域で花による環境美化活動をする私どもも、今年から伊勢崎市下植木町を流れる粕川の廃川敷に花畑を作り始めています。 そこは河川改修後の廃川処理された約八百五十平方メートルの県有地で、地域での利用が難しい所でした。周辺で宅地化が進み、いつも草が生い茂って、ごみの不法投棄が起きそうな所でした。ところが、県の公共空間の里親制度であるアダプトモデルの試行第一号に粕川フラワーロードの会が指名されたのを受けて、その荒れ果てた廃川敷が使えることになりました。粕川の土手を散歩する人々や地域の人々が憩える場となるよう、また防犯のためになるように地域の人と共同で進めています。 今は夏の花壇で、カンナやキンケイ菊、マーガレット、ハナビシソウ、ニチニチソウ、ジニア、ハーブなどが入り、とてもにぎやかになってきました。 さて、前回のこの欄で花づくりは地域づくり、人と人との結いが大切と書かせていただきましたが、地域のコミュニティーガーデンを作ることが、こんなにも楽しく感動するのかと正直驚いています。残土を入れる人、重機でならす人、土留めやオブジェに使う丸太や瓦を提供してくれる人、クレーンやチェンソーを操る人、水タンクの台座を作る人、ビールかすやチップのたい肥を運んでくる人、株分けした宿根草や種から育てた花苗を持ってくる人…。 会員をはじめご近所の人、伊勢崎第二福祉作業所、にじの会、ガーデニングの達人、市民活動支援隊など、さまざまな人たちが得意分野の技を持ち寄り、毎週ボランティアで活動しています。「下植木花の里」と名付けられたこのガーデン作りは、みんなの善意が結集し、作っていく過程で感謝と感動が生まれ続けています。人々はきらめいています。花にときめいています。そして魅力的な地域になってほしいと願っています。 人と花とのネットワークと情熱だけで始めたこの活動に、思いがけず企業からの応援がありました。そして、これは地域の環境改善のために市民、行政、企業がパートナーシップを組むグランドワークです。皆さん、スコップとカマを持って「下植木花の里」に出かけてみてはいかがでしょう。風の音、川の流れを聞きながら、土や花や緑から癒やされる心地よい空間は、まだまだ河川流域にはたくさん残っています。 (上毛新聞 2004年6月7日掲載) |