視点 オピニオン21
 ■raijinトップ ■上毛新聞ニュース 
豊泉産婦人科・上中居こどもクリニック院長
豊泉 清さん
(高崎市上中居町)

【略歴】高崎高、群馬大医学部卒。同大で産婦人科学を研修し、1980年に産婦人科医院を開業。現在、日本ペンクラブ会員、日本医家芸術クラブ文芸部会員、高崎東ロータリークラブ会員。

韓国語由来の言葉



◎古代史解明へ重要な鍵

 スケトウダラの腹子に唐辛子をまぶして熟成させた食べ物を「カラシメンタイコ」と呼ぶ。スケトウダラは韓国語で「明太魚」と書き、その発音が日本人の耳には「メンタイコ」のように聞こえるから、恐らく韓国語由来の言葉と考えてよい。

 佐渡島の朱鷺(トキ)という鳥を韓国語で「タオキ」のように発音するから、トキもやはり韓国語が語源と思われる。また、釧路湿原に棲すんでいる丹頂(タンチョウ)という鶴は韓国語で「トゥルミ」のような発音だから、「鶴見」と書く日本の地名は、韓国語の「トゥルミ」に適当な漢字を当てて、タンチョウが群棲(ぐんせい)する土地を指すようになったという推理も可能である。

 ムクゲという花の名前は、漢語の「木槿」が語源と植物図鑑では説明しているが、韓国語でムクゲを「無窮花」と書くから、その日本語読み「ムキュウゲ」をムクゲの語源と見なす方が音韻学的に自然である。

 源実朝が「上野の勢多の赤城のから社いかで大和に迹(あと)を垂れけむ」という和歌を詠んでいる。赤城神社を指す「から社」の「から」は古代朝鮮半島の「高麗(こうらい)」という国を指すと思われる。赤城山南面の遺跡からは韓国で発掘される埋蔵物とそっくりの遺物が出土するそうだから、大昔に朝鮮半島から移住してきた技術集団が開拓した土地と推測できる。実は韓国にも赤城と書く山がある。

 ずぶの素人の単なる空想に過ぎないが、日本語の単語や地名には韓国語に由来するものが無数にあるから、日本の古代史を解明する上で韓国語が重要な鍵になると思われる。

 私は高崎東ロータリークラブに所属している。ロータリーは世界の百六十余の国々に約百二十万人の会員を擁する国際奉仕団体である。国際間の交流が盛んで、外国の会員と個人的に親しく言葉を交わす機会も多い。特に地理的に近い韓国のロータリーとの往来が頻繁に行われている。

 私は韓国のロータリークラブを訪問し、韓国語で講演を試みたことが何度もある。どの国のロータリーにも会員に配布する機関誌がある。韓国語でつづった論文が韓国のロータリー機関誌に掲載されたこともある。先月、沼田市のロータリークラブが韓国の大学教授を招いて文化講演会を主催した際、私も裏方の雑役係を務めた。また、訪日韓国人の民泊をわが家で担当したこともある。ロータリーの国際奉仕活動を通じて韓国に大勢の友人ができた。

 民間人による草の根の国際交流がますます盛んになっていくのは歴史の趨勢(すうせい)である。長年にわたって培ってきた韓国との豊富な人脈を生かして、今後も日韓相互理解を目指したボランティア活動に微力ながら貢献できれば…と望んでいる。今後も地味な奉仕活動に真摯(しんし)な態度で取り組み、着実に実績を積み重ねていくつもりである。

(上毛新聞 2004年5月29日掲載)