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◎多くの有志の参加願う 今年の一月二十一日、県内に〈自立援助ホーム〉をつくろうと、「青少年の自立を支える群馬の会」が設立された。設立に至るまでの諸準備は、長年にわたって群馬学院の子供たちをバックアップしてきた「群馬学院協力会」の方々が中心になって進めてきたものであった。 〈自立援助ホーム〉とは、一九八七年の児童福祉法の改正によって、初めて制度的に認められたものであるが、中学校卒業後の有職あるいはいまだ無職の青少年の自立を援助する家のことである。家であるから、ここには青少年の親代わりをする大人がいて、この家で暮らす青少年と寝食を共にしながら、直接、間接的に子供たちの自立を支援していくというホームなのである。このホームは全国的にも数が少なく、本県にはまだない。 全国的な傾向として今、児童養護施設が満杯状態にある。このことについては、先に、この欄で紹介させていただいたが、養護施設で暮らす子供たちの中には、肉親から虐待を受けたり、半分捨てられ見離されてしまっている子供も少なくない。 親がいながら、現代社会の複雑な利害、人間関係、親の身勝手さ、制度その他さまざまな要件によって、落ちこぼれてしまう青少年はかなり多い。 自立支援ホーム「ぐんま風の家」を実現したいという運動は、家庭が崩壊してしまったり、親から虐待を受けたり、実質的には親から見離され、捨てられたも同然の状況に置かれたりして、自立のために必要な家、生活基盤を失ってしまっている青少年たちに対して、心ある大人たちが協力して、何とか援助の手を差し伸べていこうとするものである。 宇都宮で自立援助ホーム「星の家」を主宰する星俊彦氏は、『しもつけ随想』でこう述べられている。 おはようございます。おっ、いいぞ。隣のおばちゃんにもちゃんと挨拶(あいさつ)できるようになったじゃないか。少し声が小さいけど。弁当ぶら下げて仕事に出かける子どもの後ろ姿を玄関から見送る。先月の給与明細を見ると、所得税が引いてあった。おまえすごいよな、十六歳で税金払ってんだぜ。おまえ偉いよ。 引ったくり、恐喝、暴行傷害、シンナーに覚せい剤、女の子なら援助交際…。それでも毎日仕事に通っているのを見ていると、とりあえず、まあいいかという気持ちになってくるから不思議だ。 仕事を続けられるようになると、十八歳を過ぎ、二十歳になるころには、どんな子もそれなりに成長してくるものだ。「たいしたもんだよな」と思うのを通り越して「すごいな、偉いな」と感心してしまう―と。 青少年の自立を支える群馬の会では、今年九月「ぐんま風の家」実現をめどに、広く県民に呼びかけ、「善意」を募集している。多くの有志の参加を願うばかりである。 (上毛新聞 2004年5月25日掲載) |