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◎食べさせたい愛情弁当 先日、娘と二人で久しぶりに外で食事をしました。実は二十五歳になって看護師を目指し、この四月からまた学生になった、その祝いを兼ねての食事でした。 娘のお薦めの店で次から次へと出てくる料理をほおばりながら、話が弾みました。話は先日の入学式のことから始まり、二歳で保育園に行ったときの思い出話になりました。私も振り返ってみると、子供を通していっぱい思い出されますが、特に幼稚園のときのことが、今の始まりのような気がします。 入園にあたり、仕事もやめて、子育てに専念することになり、準備説明会に行って驚いたのは、生まれてこの方、地元にいたのに、知っている同世代のお母さん方がいなかったことです。まずは、親が友達をつくらなければと思い、すぐPTA活動に参加しました。そこから友達ができ、今でも仲良くしています。これが今で言う“公園デビュー”と同じく、私の“幼稚園デビュー”でした。 一日置きに幼稚園に持っていくお弁当のことでは、教頭先生から「必ず五色の食べ物を入れ、その中にはなるべく季節の物を入れた手作りのお弁当をお願いします」と言われました。その弁当作りでは、本を買って工夫を凝らすのに奮闘しました。作る時、いつも教頭先生の言葉が頭にあり、考えながらのお弁当作りは、楽しいひとときでもありました。また、「おいしかった」という娘の一言が、私を喜ばせてくれました。おかげで、今も弁当作りが続いています。 幼稚園では今、毎日午後二時帰りとなり、昼食はお弁当を持っていく日、ご飯を持っておかずが出る日、給食の日と三パターンになっているようです。少しでも、お母さん方の負担を少なくするためでしょうが、義務教育の九年間は給食になるのです。栄養はもちろん、献立の工夫もされていて、みんなで同じものを食べるのもいいのですが、お母さんの愛情手作り弁当を食べさせてほしいと思います。 今や、コンビニや弁当店ができて、手軽に食べられますが、食生活は大切です。そのため、公民館などでも、子育てのお母さん方に料理教室を開催しています。お母さん方が料理を教わっているとき、地元のボランティアの人たちが子供を預かって応援しています。また、幼稚園の畑にはジャガイモ、インゲン、トマト、ナスなどを、公民館の畑にはサツマイモなどを植えています。食べ物に関心を持ってもらい、水やりをしながら成長の様子を見たりして、収穫を楽しみにしているようです。 食事をしながら、娘に問いかけてみると、「今日は何が入っているかなと、とても楽しみにしていた。幼稚園のときのお弁当が、一番手が凝っていたかな」と言っていました。そして、「ありがとう」という言葉に、うれしさが込み上げてきました。いつか、娘も作るときがくるでしょう。これから学業が始まるのですから、いつのことになるのか分かりませんが。 (上毛新聞 2004年5月14日掲載) |