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◎交流通じ相互理解を 四月三日から九日まで、今年も中国に出かけてきた。戦争の悲惨な体験を二度と繰り返すまいと中国に桜を植え、日中の友好と親善の証しとするべく、日中桜友誼林(ゆうぎりん)保存協会が発足して十七年もの間、毎年、中国の無む錫しゃくを中心に桜の苗木を植え続けている。その地は今、一万本の桜の名所となり、市民に親しまれて見事な花を咲かせる憩いの場となった。 この会は、三重県鈴鹿市と太田市が主な活動の拠点となっているが、私の参加する太田市日中桜友誼林の会は、一時的な中国への旅行会でなく、親ぼくと旅行説明会を兼ねた結団式、旅行後には宴席での写真交換会、買い求めた書画や印象に残った写真などを広く公開する写真書画展なども企画されている。また、秋には一泊の国内旅行会まであり、忘年会、新年会と周年活動が続けられている。 中国で植樹の際、小学生がわれわれと一人ずつコンビを組んで、ほんのひとときを過ごすのであるが、その子供たちの何と生き生きとしてかわいいこと。祖父母にも等しい年代のわれらと手をつなぎ、メモを片手に筆談での交流はもどかしくもあり、またほほえましくもあって、時の過ぎるのも忘れる。互いに住所、氏名を交換して写真を送る約束をして別れ、ほとんどの人がその約束を果たしている。 私は二年前、無錫の夏宇(かう)という男の子(当時、小学四年生)と揚州の李茜(りせい)という女の子(同六年生)と知り合い、以来、文通を続けていたが、何とその二人がホテルに訪ねて来た。驚くほど背丈が伸び、成長期の二年間を目の当たりにした思いであり、心楽しい再会であった。 李茜は二時間をかけて父母、伯父、いとこと五人で、そして夏宇は父とその友人二人の四人でやって来た。ともに、たくさんの土産を持参してくれた。私の送った語学学習用のテープレコーダーや学用品を活用していると、うれしそうに語ってくれたが、互いに相変らずの筆談である。四年生から英語を学ぶ彼らと英単語や漢字を羅列して、時に中国語辞典を操り、身振り手振りでの会話は、後からそのメモを見たら、まるで意味不明。来年はぜひわが家へと、うれしい申し出も受けた。 今年は北京へ足を延ばし、万里の長城、故宮、天安門広場と、しっかり“オノボリサン”になってしまった。そして、人民大会堂でのレセプションでは、セキュリティーの厳重さにびっくりしつつ、八十四歳を筆頭に何の事故もなく無事帰国した。こうした流れのスムーズな運びは、事務局をはじめ多くの人が無私でそれぞれの役を受け持ち、協力し合ったからであろう。 ただひとつ、私の危ぐすること、それは会員の高齢化と固定化。若さあふれる(年齢にあらず)たくさんの方の参加が会の存続につながり、そしてまた、中国の人々との交流は相互理解に欠くことのできないものと思う。今年のパートナーは四年生の女の子、揚ようほう朋さん。異国の孫? がまた一人増えた。 (上毛新聞 2004年5月11日掲載) |