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◎家づくりで地域を復活 三月二日付の本欄で、二酸化炭素の温室効果ガス削減のためには、森林に頼らなければならない日本の現状と、住宅生産システムの変化により、森林を支える林業が壊滅状態にあることを記しました。しかし、地域材による家づくりが当たり前となる社会の仕組みを復活することで、林業と森林の再生が可能になると考え、それに取り組んでいるグループがあります。 その会は、私も参加している「ぐんま森も り林と住まいのネットワーク」で、近くの山の木で家を造るという考え方を通して、二十一世紀における森林の持つ意味や地域資源としての価値を再認識し、近くの山の木による家づくりを普及することで、地球環境の再生と地域社会の復活、県産材の需要拡大による植林を推進したいと活動しています。会員には林業家、製材業者から工務店、設計事務所など建築関係者のほかに、建築主でもある一般ユーザーの方も参加しています。 家は商品として消費されるものではなく、地域社会の中で生かされ、長い間、住み継がれるものです。県産材や職人の技能も地域の大切な資源であり、価値ある財産です。そうした材料や技能によって造られた家は、地域社会共有の財産であると考えます。 これからの家づくりは、それにかかわるすべての人の協働によって作り出される、あらゆる価値を共有することであります。そのため、会ではそのシステムをつくることが、失われつつある地域社会を取り戻す糸口になる、と唱えています。 会の活動は、三つの活動から成り立っています。第一は会の理念に基づく家づくりを広める普及・啓もう活動で、主にユーザーを対象とした見学会や勉強会です。山林の見学や、地域の財産となりうる家づくりを学ぶことで、その価値を共有したいと思っています。 第二は県産材を使って家を建てたいと希望している会員の方に、会員の林業家から直接、良質な木材を提供することです。これは最近、農業で行われている「地産地消」の考え方で、この家づくりでは木材だけでなく、職人の技能も地域に求める必要があります。 第三は、地域の財産となりうる家づくりができる人材を育成するため、絶えず研けんさん鑽を積むための場としての研修会の開催や、データの収集を行う研究活動です。ユーザーの方々にこの会の活動を理解し、共感してもらうには欠かすことのできない活動であり、この人づくりこそ、今後の県産材活用の鍵となります。 この会の活動から見えてくることは、単に木材の需要拡大が目的ではなく、家づくりよる地域社会復活をめざした運動であり、復活の原動力となる地域力を高めるために欠かすことのできない、共同(コモンセンス)という価値観を提唱する地域づくり運動の一つであるということです。 (上毛新聞 2004年5月5日掲載) |