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◎日本の浮沈にかかわる 日本の将来の存亡がかかっている大きな課題は、少子・高齢化の問題であろう。 厚労省・将来人口推計によると、人口は二〇〇六年前後にピークを迎え、三十年後には一億一千五百万人程度に、五十年後には一億人までに減少すると予測している。 また、六十五歳以上の高齢者は二〇三〇年には三千五百万人(現在は二千四百七十万人)近くまで増加し、全体の30%を占めるとのことである。 さらに、少子化も合計特殊出生率(女性一人が一生の間に産む子供の数)でみると、二〇〇二年には、一・三二人まで落ち込み、史上最低を更新している。 このような人口動態の中にあって、少子・高齢化は社会にどのような影響を及ぼすのか心配である。その主なものは社会保障制度(特に年金)の存続の問題であり、もう一つは日本経済活動の縮小・崩壊の問題であろう。 前者については、一人の年金受給者を一九九五年には約五人で支えていたが、二〇一〇年には二・八人、二〇年には二・三人になるとのことであり、財源が逼ひっぱく迫してくる。そのため、政府は現在、制度見直しの改正法案を国会に提出し、成立を目指しているが、同法案にも大きな問題が潜んでいる。 後者については、一九九五年の総労働力数(生産年齢人口数で、十五歳から六十四歳まで)は八千七百万人であったものが、二〇二〇年には七千五百万人に減少すると推測されている。生産年齢人口が減少する中で、世界を相手に価格競争・技術競争で生き残るには、企業の多国籍化や外国人労働者の受け入れがますます必要となろう。 ここで少子化の原因についてみると、それは女性の意識や考えが変化したことにある(結婚・出産・育児より自由を求め、自己実現や豊かな生活を求めるなど)。それが未婚・晩婚化へとつながり、少子化現象を起こした一因になっている。また、男女の仲介を取り持つ個人が極度に減少したこと、親も隣人も社会も若者の結婚について心配はするが、とやかく言わず、当人任せになっていることも要因である。 では、「少子化対策はどうしたらよいか」であるが、政府は昨年、議員立法で少子化社会対策基本法を成立させた。しかし、中身は抽象的であり、早期に具体化させ実施してほしい。 最後に、行政に提案したいことがある。それは、全国の企業・団体の中に結婚相談に係る部署を設置し、結婚仲介をすることを法律で義務付けることである。これにより、未婚者がかなり減少する。なぜなら、男女双方に相手を見つけることのできない人がかなりいるからである。結婚なくして、少子化対策なしである。併せて、全国で四百十七万人もいるフリーターをなくすことである。 少子化は個々の家庭を崩壊させ、企業をつぶし、国をも消滅させる大きな問題なのだ。それ故に、国が、各家庭が、地域社会などが真剣になって考え、行動に移すことが必要である。この対策が効を奏せば、高齢化問題は自然消滅へと向かう。少子化対策は避けて通れない課題であり、日本の浮沈がかかっている。 (上毛新聞 2004年4月10日掲載) |