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◎県大会3位の偉業称賛 私は戦前、高崎商業に在学中、部活としてバスケットボールを選択し、これが縁で松井田東中学校の体育後援会に加入、長年にわたりバスケットのコーチ生活を送りました。その中で心に残る四年間の思い出を記します。 平成元年の六月末、顧問の先生から「今年は三年生に五人の選手がそろい、体力・精神力に優れ、県大会出場の願望が強いので学校も力を注ぎたい」との話を聞き、私も定年退職の身であり、即座にその期待に応えることにしました。 日曜日に学校の体育館を訪ねると、倉賀野中との練習試合が計画され、松井田と倉賀野での各学校二試合ずつ計四試合が行われました。結果は二勝二敗の成績でした。私も行動を共にし、帰宅は午後七時を過ぎていました。この日から久方ぶりのコーチ生活が始まりました。 試合内容を分析すると、主将のN君の指示を受けながら四人が動く形で、N君の一人舞台の感を受けました。この程度の力で地区の代表は極めて困難と分かりました。予選大会までは三週間足らず。そこで窮余の一策として、長身のフォワードS君にもアシスト役を頼み、N君とS君が得点役、他の三人は極力この二人にパスし、N君は得意のドリブルでゴール下まで運ぶ。機あればシュートし、遮られればS君にパス。双方間での連携作戦を立て、以後は特訓の毎日でした。 すると、10%の得点率が十日後には80%に効果が現れました。S君にはディフェンスをしのいでのシュートが決まり出しました。また、いつでも攻撃にN君の横か、後ろかに続く方法を採用しました。運よく絶好調に達した時が予選大会。作戦が見事に的中し、決勝戦まで勝ち進み、念願の地区代表となりました。N君をはじめ選手はもちろん、保護者、学校関係者の喜びはひとしおでした。 「優勝」の二文字は下級生を刺激し、以来、本格的な基本練習とともに選手間での作戦考案、応用動作の採用と勝運と努力により、三年連続県大会出場の栄冠を獲得し、誇りに思いました。四年目は幸いN君の弟が主将に選ばれ、陣頭指揮を執りました。勝運に恵まれず、県大会出場は困難と思いましたが、大会間際に選手の調子が上向き、四年連続の快挙を成し遂げ、県大会も何と第三位の偉業を達成しました。選手の努力と責任感の強い主将の熱意を称賛したいと思います。 なぜこのような力が発揮できたのか。それは六月初旬、主将の父親が子供の要望に応じて、蚕室を改造し、バスケットのリングを設置。車二台の照明による夜の特訓のたまものです。「薄暗い中でのシュート感を会得した成果」と顧問から聞きました。中学三年生が仲間の期待を背負い、責任を果たすための涙ぐましい努力を続けたのに対し、運の味方が加わり、勝利を得たものと確信し、感銘しました。 家庭教育の充実を肌で感じ、「子は親の背を見て育つ」のことわざどおりの実践生活。立派な家庭であり、親子の協力に敬服いたします。しかも兄弟そろって東中バスケット部の歴史の一ページを飾った功績を心からたたえます。私としても心に残る思い出の楽しい四年間でした。 (上毛新聞 2004年2月14日掲載) |