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◎職員会議の形骸化防げ 昨年末に「踊る大捜査線」なるテレビドラマを見た時、何やら教育現場とよく似ていることに気が付きました。なかでも、青島刑事なる人物が発した「事件は、現場で起きているんだ」という名せりふが、私の胸にズシンと突き刺さってきました。 ドラマでは、青島刑事が次々と起こる事件に遭遇する中で、多くの問題を提起しています。時には彼の行動に対して、直属の上司はうろたえ、上部組織の顔色をうかがいながら指導を仰ぎ、結果はそれを現場に押しつけています。 また、現場では解決できないと勝手に判断し、直接事件現場に介入してくる。それが理不尽なことであっても、現場は受け入れざるを得ない。この中にあって、彼は上部組織の監理官なる人物に実情を訴えるが、その監理官さえも組織の中では、どうにもならないこともあるということを訴えかけていました。 現在、多くの教育現場では、いろいろな「事件」が起きています。アルバイト解禁に伴うつけが回ってきています。明らかに生活のリズムが乱れ、授業中の居眠り、集中力の欠如、学力低下などに顕著に表れ、さらに生活習慣の破は綻たんによる問題行動の激化が目立ってくる。このため、生徒指導による労働過重に悩まされ、授業確保や行事削減という名目で、やっと軌道に乗ってきた体育的行事(スキー教室など)も実質廃止の方向で計画変更したり、突然降ってわいたように長期休業の見直し、昇給と言いながら実質的には給与の減給、部活動に伴う出張手当の廃止などに直面しています。 しかも、これらは一部を除いて、職員会議で協議事項になっているにもかかわらず、はじめに結論ありきで提案され、どんなに意見を言っても、それは単に一種のガス抜き効果でしかなくなってきています。 私が教師になったころは、職員会議と言えば次々と意見を出し合い、議論を尽くし、結果に対して全員で取り組む姿勢が見られました。生徒や授業のことはもちろん、学校運営や勤務実態などにおいても、活気に満ちていたことを覚えています。 しかし、時代とともに職員会議が変質し、最高決議機関とされていたころから諮問機関化され、今では何を言っても無駄とでも言うことなのか、物を言わぬ教師、物を言えぬ教師が増えつつあり、もはや職員会議は職員報告・伝達会化し、形けい骸がい化しています。 時には、上部組織によるトップダウン方式があっても良いと思いますが、そこには現場を納得させる説明責任と施策の理解を深める努力が当然なされるべきです。 青島刑事とまではいかなくても、今後とも心ある仲間とともに、ガス抜きであろうと、何と言われようと、職員報告会・伝達会を真の職員会議に近付ける努力が、ある意味、学校崩壊を押しとどめることにつながると信じて、あきらめずに取り組んでいくつもりです。事件(教育)は現場で起きているのですから! (上毛新聞 2004年2月12日掲載) |