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◎夢もちながら高い敷居 近年、三十―三十四歳の年齢層で男女ともに未婚率の上昇が目立つ。日本の若者は「結婚離れ」が進んでいるのだろうか。 全国の二十―三十四歳の未婚者(学生を除く)に対する内閣府の二〇〇三年「若年層の意識実態調査」によれば、未婚でいる理由のトップは、男女とも「結婚したい相手にめぐり会わないから」(男性39・9%、女性43・1%)であり、二番目は男性では「金銭的に余裕がないから」(36・0%)、女性では「趣味や好きなことをしていたいから」(24・9%)である。なおパート・アルバイトの男性では、44・4%が、「金銭的に余裕がないから」を理由に挙げている(正社員の男性では33・9%)。 「結婚離れ」でなく、男女とも結婚に夢をもっていて、それだけに敷居が高いのだ。とくに男性にとって、“金銭的な余裕”という意味で敷居が高く、正規の職についていない場合にその高さは禁止的ですらある。 賃金が伸び悩む経済状況のもと、結婚して二人三人と子どもを産み育てるためには、女性が収入力をもつことは必須といえる。実際、〇二年七月実施の内閣府「男女共同参画に関する世論調査」でも、女性が職業を持つことについて、「子どもができても、ずっと職業を続けるほうがよい」という継続就業支持が、37・6%と最多になった。従来は、「子どもができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業をもつほうがよい」という中断再就職支持がトップだったのである。 性別と年齢階層別の意見分布はいっそう興味深い。三十代女性では、継続就業支持が45・5%に上るのに対して、四十代女性では45・1%が中断再就職支持である。ところが男性では、すべての年齢層で継続就業支持が中断再就職支持を上回った。とくに四十代では42・2%が継続就業支持で、すべての年齢層で最高であり、中断再就職支持は29・3%にすぎない。四十代女性が自らの就業中断を肯定しているのに対して、その夫たちには後悔が見てとれ、三十代女性は前車の轍てつを避けようとしている、といった図柄だろう。 しかし、女性の収入力の上昇ははかばかしくない。フルタイム雇用者の所定内給与について、女性の賃金は男性の65・3%にすぎない。最近の諸外国では、スウェーデン88・4%、フィリピン84・5%、イギリス82・1%、フランス79・8%、アメリカ76・0%、ドイツ73・6%などであり(フランスは一九九八年、その他の国は二〇〇一年の数値)、日本での格差は大きい。 しかもこの間、女性雇用者に占めるパートタイム労働者の比率が上昇するとともに、時間当たり賃金は、パート女性ではフルタイム女性の64・9%(二〇〇二年)と、格差は拡大している。同時に、自ら進んでではなく、やむなくパートで働くケースが増えている。 日本の若者は、自己中心的になって「結婚離れ」していると論評する前に、育児条件にめぐまれた共稼ぎ生活の環境を整備する必要があるのだ。 (上毛新聞 2004年2月5日掲載) |