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◎たくましさ見習うべえ 地域の言葉には、ある種の共通した特性があります。標準語では伝わらない何かが地域の言葉では表現でき、感情や文化や伝統、気候風土や思想など、あらゆる地域特性が伝承されていくのです。 昨年の二月に、明治十八年生まれの祖母が使っていた言葉を思い出して、《あがつま語》というホームページを開設し、四月には、その一部を小冊子にまとめ『あがつま語☆辞書』として印刷発行しました。これを読んでいただいた方々から多くの手紙をちょうだいするなど、思いがけない反響がありました。 ほとんどの手紙には、スイッチやボタンを押せば動いてくれる道具などあまり無かった時代を、「古き良き時代だった」と一言で片付けず、現代そして未来の地域へと、先達の熱い思いをつないでいきたいとの旨がつづられています。 地域の言葉を大切にすることは、地域の先達を敬い、後輩を尊び、同輩を愛することに結びつくものだと、あらためて認識しました。 以下は「あがつま語」による提言です。できれば、声に出して読んでください。 よそんちの子を おやげねえからっつっちゃあ 自分ちの子とおんなじように でえじにしてた めえんちの おじさん そのかあち わりい事でもすりゃあ それっこそ こんにゃろって 人んちの子でも本気で追っかけまあしてた 普段は えばってるくせに人さらいだとか神隠しだとかおっかながって 夜中に一人で ちょうずばに行げなかった 裏んちのあんちゃん 喧嘩(けんか)して泣いて うちい けえってきたら それちんべえのことで泣くんじゃあねえって とうちゃんに さんざおっつぁれて おめえさま どうづかれた弟 おめえは男なんだから がまんすろ おめえの方がでっけえんだから がまんすろって がまんすることばっかし俺(おれ)に言ってた かあちゃん おばあさんの使ってた言葉を おめえだしてくと いろんな事が だんだんつ よみげえってくらい でも ただ懐かしがってる訳じゃあねえ ここらで じゅうくう一つ 言わしてくんない どこんちも貧乏で くいもんや あすぶもんも ろくすっぽ なかったけど 心んなかは今より ずうっと豊かだったんじゃあ あんめえか 誰でも 本気んなって 生きてたんべえ 今っから としょうりとでも わけえしょとでも 誰とでも きんなまでよりゃあ少し よけえにしゃべるようにしてんべえじゃあねえ 誰からでも いろんな事おさって 誰にも いろんな事おせえて いつまでも 下げ駄た箱みちょうに たくましく生きてぐべえ 下駄は無くなっても下駄箱って言葉は残ってらい 俺はもう下駄箱じゃあねえ靴箱だなんて 下駄箱は 絶対に言わあしねえ 下駄でも靴でも何でも へえるもんなら みんな受け入れてきた 下駄箱の柔軟性は てえしたもんだ 見習うべえ (上毛新聞 2004年1月30日掲載) |